1週間前に東北の某県在住の患者さんが、実家の長岡市に戻ってきている間に、当院に相談に来られたことに触れました。
いわゆる乳児の“湿疹”の相談だったのですが、一見してアトピー性皮膚炎で、しかも重症でした。しかし、皮膚科を3、4件回ったものの、まともに診断できる医師はいなかったそうです。
診断もせず、ステロイド軟膏だけ処方して、「はい、一丁上がり」的な診療をしており、果たして「医療費って支払われるべきだろうか?」と思ってしまいます。
と言いますのも、日本は“医療レベルが高い”そうで、どの医療機関を受診しても均一なレベルの医療サービスを受けられることになっています。
当院の力を入れているぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーはいい加減というか、デタラメな医療が行われれいることが多いようです。だから、当院に藁をも掴む思いで受診される患者さんが後を断たない訳です。
病気を診断できず、まともな説明もできず、そういう医師に医療費が支払われるのは納得がいきません。しかも、そういう行為を繰り返しても、何のペナルティもなく、特に開業医は「あなた、間違っていますよ」と誰も教えてくれないので、“誤診”を繰り返すことになります。
こういうことをしているのがごく一部の医師なら、周囲から浮いてしまい、患者が行かなくなるのでしょうが、逆に、私の感覚からすればとても多いので、まともに診断され治療を受けられる患者さんが少ないと思っています。
ある患者会の代表が「アレルギーの医療にはアタリ、ハズレがある」と言っていましたが、ハズレの方が極めて多いと思っています。私の場合はどうかと言うと、「ハズレと言われないよう、努力している」という言い方が適切かなと自己評価しています(汗)。
冒頭の患者さんは、ステロイド軟膏を塗ると皮膚症状が改善するものの、止めると悪化してしまい、「このままだとステロイド依存症になるのではないか」と心配されていました。
ステロイド軟膏に対し、否定的に捉え、使用を拒否する方は以前は多かったものの、最近はガイドラインの浸透もあり、かなり減っています。こちらとしても、治療しやすくなってきています。しかし、そういう考えは一部でしぶとく残っています。
また脇道に逸れますが、こんなケースもありました。地元の患者さんで、A皮膚科で“乳児湿疹”にステロイド軟膏が使われていました。ステロイドが怖くなり、B皮膚科で相談したところ、プロペトという保湿剤のみで治療しようということになりました。結局改善せず、困り果てて当院を受診されています。
結局、このケースもアトピー性皮膚炎の診断基準を満たすにもかかわらず、“乳児湿疹”と誤診されていました。地元では期待されている皮膚科なのにです。私はどうしたかと言うと、アトピー性皮膚炎と診断され、ステロイド軟膏で治療するのが現在お薦めの治療であることを示したら、ものの1週間で改善しています。
ステロイドを使いたくないという患者さんに迎合し、保湿剤を使っても、ある程度重症なら改善は難しいです。プロなら、アトピー性皮膚炎と正しく診断しし、ガイドラインに沿った治療を薦めるべきなのです。
話を戻しますが、今回の患者さんも私のポリシーのもと、ステロイド軟膏の不安を取るところから始めました。いろいろ説明しても、親御さんもなかなか首を縦に振りません。1時間くらい話して、最終的には「こんなに一生懸命説明してくれた先生はいない」とガイドラインに沿った治療にゴーサインを出してくれました。
私の中では、1週間後には良くする自信はありますが、実際に確認しなければいけません。先日、受診されましたが、予想通り、劇的に改善していました。
この患者さんの場合、ステロイド治療を拒否していたこともあり、かなり重症で、変な言い方ですが、当院では久々の“大物”でした。しかし、当院では1週間後の皮膚症状を思い浮かべて薬を選択しています。今回もしてやったりという感じでした。
お母さんはもちろん、実家の祖父母も喜んでくれており、東北の某県の自宅に残っているお父さんに写メで改善を報告し、とても喜んでくれているようです。
一人の患者さんに1時間説明している間に、風邪ひきを10人診た方がよっぽど儲かるのですが、医療は儲けに走ったら、ろくなものにはなりません。また患者さんを路頭に迷わせてしまうことになります。
もちろん、自分の医院の経営も考えなければならないのですが、どの医師でも診られるような風邪を10人診るよりも、自分のできることをやった方が患者さんのためになるのであれば、それはそれで良いことだと思っています。
ちなみに1時間かけ説明し、劇的に改善した訳ですが、近々東北の自宅に戻られるそうです。当院に何度も通ってくれれば、医院の利益につながったのかもしれませんが、1週間後に改善を確認し、それが最後の受診となりました。紹介状を書き、私の知っている専門医にあとの治療を委ねることにしました。
そういう意味では割りに合わなかったかもしれませんが、ステロイド軟膏を拒否する患者さんに全力でぶつかり、誤解を解き、赤ちゃんの症状を改善でき、今は清々しい気分です。
私はいわゆる「体育界系」の人間ではないのですが、医療って、スポーツマンシップに則りプレーした時に得られる清々しさと似たような感覚が得られる部分はあると思っています。
ところが、“誤診”されるなど、どの医師も全力でプレーしているとは思えないアトピー性皮膚炎の医療は、様々な問題を抱えていると言えるのではないでしょうか?。


