小児科 すこやかアレルギークリニック

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95%出ない
2014年06月07日 更新

先日、小麦の負荷試験を行ないました。

患者さんは、かかりつけ医から別の医療機関への紹介状を持っていたのですが、いろいろ調べてみた上で、県内の事情を知り、当院を頼って下さったという状況でした。

よくあるパターンですが、卵、牛乳、小麦を完全に除去していました。この場で当院の治療方針にはよく触れています。重症な場合、もしくは一切食べていないケースでは、アレルゲンを少なく含む加工品を用いて負荷試験をして食べられることを確認しており、そうすれば完全除去する必要はなくなります。

そういう考え方のもとで対応していると、卵、牛乳、小麦のすべてを完全除去するケースは、私の中ではほとんどないと言えます。

この患者さんの場合、まずは小麦の負荷試験をやろうと考えました。

小麦はパンや麺類の主食の他、クッキーやビスケットなどのお菓子にも使われており、小麦を食べられるかどうかで、食生活は大きく異なると思っています。何はともあれ、小麦を解除したいと考えました。

確かに小麦のアレルギー検査の結果が高値で、しかも微量で反応してしまうケースはあります。ただ、この患者さんの場合、クラス2でした。

ある日本の第一人者の先生のデータによると、小麦がクラス2の場合、負荷試験で何らかの症状が出るのは、4%あまりとされます。つまり、95%以上は除去する必要がないということになります。

患者さんへは、そのデータをお見せし、「今度負荷試験をやりましょう」と言っていたのです。

この場で時々「負けるケンカはしない」と言っています。それは、アレルギー症状が誘発される可能性の極めて高い負荷試験は避けるようにしている、という意味です。

本当のことを言うと、そうじゃないケースも負荷試験をやっています。これは“リスクを図る”負荷試験です。

小学校に上がるなどする時に、アレルギー検査の数値が高いからとずっと完全除去していた場合、意外と食べられるのか、微量でショックを起こすのかを知っておかないと、かえって危険という考えのもと、敢えて負荷試験をやっています。

そういう負荷試験以外では、食べられるものを確実に食べさせたいという気持ちですので、負けることは許されないのです。

今回のケースも、勝つ確率が95%以上なので、当然勝つ気満々で負荷試験を始めました。そうしたところ、比較的早い段階で両まぶたにじんましんが出てきたのです。しかも咳き込みも見られ、聴診器を当てると軽くゼーゼー言っています。

さほど重くはないものの、アナフィラキシーと診断しました。医院で対応していますので、急激な悪化があればすぐに対応できるため、アドレナリン注射は行なわず、気管支拡張薬の吸入と内服薬で対応することにしました。

じんましんも体にも広がってしまいましたが、ゆっくりと消失しています。残念ながら、95%以上の確率に入れませんでした。

私も正直、負けることはあまり考えておらず、小麦を摂れることが分かり、親御さんも笑顔で帰って頂く姿を想像していたので、がっかりしました。私がそうだったので、親御さんの落胆も大きかったと思います。

負荷試験に絶対はないため、今回の結果は事実として受け止めざるを得ません。私自身、小麦でクラス2の場合、これまでの負荷試験ではほとんどが95%の方に入っていたのですが、「小麦は食べられるはずで、次に卵、牛乳と負荷試験を進めていこう」とばかり考えていたため、親御さんにも期待させ過ぎた部分があったと思われ、反省しています。

その部分は謝りましたが、小麦も意外と重症であることが分かったため、気持ちを切り替えて今後の食生活を考えていかなければなりません。

小麦はこういう結果でしたが、卵と牛乳はまた違う結果になると思われ、次回は牛乳で負荷試験をやりましょうという予定にしています。

今度は無事に摂れて、笑顔で帰って頂けるといいなと思っています。