小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

ゴールは自分で
2014年06月09日 更新

毎日、真面目に診療しているつもりです。

毎週水曜午後の講演活動や、学会活動もやっていますが、毎日の診療を手を抜いては意味がありません。

土曜も100人近い患者さんを診てクタクタだったのですが、自分の時間はなかなか取れないため、土曜の午後は“気になっていること”を一気にやってしまいたいと思っていました。

この土曜は、自宅のカーポートにセンサーライトを取り付けたり、洗車などに使う高圧洗浄機の屋外収納ボックスをホームセンターで買ってきた材料をもとに作り上げたりしていました。タイヤ置き場の小屋は先日完成させましたが、お陰で電動工具は結構揃いました(笑)。

8月に全国学会で開業医でもできる食物負荷試験の講演が控えていますが、なかなかエンジンがかからず、日曜日は子ども達の遊び相手にもならないといけません。「ちょっとだけ」と思い出掛けて、これ(画像)を食べてきました。

先週に引き続き「マリンドーム能生」で食べた岩ガキですが、子どもの握りこぶしくらいの大きさでしょうか。かなりのボリュームで、満足感が得られます。先週のブラック焼きそばに引き続き、食レポみたいになっていますが、お読みの親御さん達へのプチ贅沢の情報源になればと思っています。

午後は学会の準備と思ったのですが、子ども達の視線に勝てず、日帰り温泉に行ってきました(大汗)。

「劇的ビフォーアフター」という番組があります。結構好きで、よく見ているのですが、その間のCMで業者がこだわりを持って作業しているということを表すフレーズが何気なく目に留まりました。

「ゴールは自分で決める」というものでした。家の建築に関して、妥協を許さず理想を求めて作業していることを意味しているのでしょう。

ふと、「医療と一緒じゃん」と思いました。

土曜に受診した患者さんですが、熱が4日も下がらず、咳もひどかったです。もともとぜんそくもあるのですが、親御さんからすればとても心配な状況だと思います。私の中でも心配な状況だったのですが、「入院する必要があるかどうか」、「肺炎になっていないか」がポイントだと思います。

熱が4日も続いており、しっかりと肺炎があれば、入院を勧めようと思いました。でも肺炎の有無にかかわらず、呼吸困難など全身状態が悪ければ、入院して治療した方が良いし、医師がいけると思っても、親御さんが入院を希望されるケースもあります。お子さんが治療を選択できないので、親御さんと相談の上で“落としどころ”が決まります。

私はそう考えましたが、同じ患者さんを診察しても、多分、医師の対応はかなり異なると思います。

血液検査をするかどうか、レントゲン写真を撮るかどうか、肺炎があればマイコプラズマなど原因菌を調べるかどうか、点滴をするか、入院を勧めるかなどなど医師によって判断が異なると思います。

私の場合は、「もし患者さんが自分の子どもだったらどうするか?」ということを考えているつもりです。それが患者さんが私の医療に納得してくれるかどうかの分かれ目だと思っています。

まずは肺炎を心配しレントゲン写真を撮りました。やや肺炎になりかけている状況でした。血液検査で炎症反応という項目を調べてみましたが、悪くはありませんでした。また、原因菌の検索では、子どもが肺炎になった場合、頻度の高いものとしてマイコプラズマがあります。最近は、のどに綿棒をこすりつけてそれを検体とし、検査できます。これは陰性、つまりマイコプラズマではなさそうだという結論でした。

インフルエンザは地元ではほぼ終息しているため、インフルエンザは調べませんでした。あと、肺炎を起こしやすい原因としてヒトメタニューモウィルスが疑われました。

ヒトメタニューモウィルスは、検査の適応に縛りがあるため、調べても医院が損をすることがあります。そういう理由でか、検査キットを採用していない開業医は少なくないようです。私の場合、損得で診療はしていません。それを言い出したら、医療のクオリティーは相当低下するし、そういう目でしか患者さんをみられなくなってしまう恐れがあるからです。

しかも、熱がそれくらい続いていれば、親御さんは原因が知りたくなります。分からない場合もありますが、分かる努力はすべきだと考えています。この患者さんにも調べてみました。そうしたら、ヒトメタニューモウィルスであることが判明しました。

以上のことをトータルで考え、呼吸困難はなく、意外にもまだ元気があること、即入院を望まないというお考えもあり、土日は様子をみさせて頂くことにしました。親御さんの中では、ヒトメタニューモウィルスであると原因が分かったことが大きいようです。このウィルスは上越では結構流行っています。ただし、インフルエンザのタミフルのような特効薬的な薬はありません。

特効薬がないから調べても無駄という医師がいるとしたら、それは詭弁でしょう。親御さんにしてみたら、原因を知ることによって得られる安心感はとても大きいのです。

ヒトメタニューモウィルスも原因と分かり、治療は対症療法となるのですが、抗生剤を出さない根拠も出てくるため、自分の処方にも自信が持てます。あとは好転することを期待しつつ、待つしかないと言える訳です。

私の今回の対応がベストではないでしょうが、レントゲン写真を撮ったり、ヒトメタニューモウィルスを調べたり、全身状態を確認したりして、他の医師の目の前に出しても、さほど恥ずかしくない対応をしたつもりです。親御さんからレントゲンを撮ること、ヒトメタニューモウィルスを調べるよう希望された訳ではありません。私自身が「そこまで調べる必要がある」と判断したからです。

そこまでしない医師も多いことでしょう。そこまで調べることが、この患者さんの“ゴール”だと思ったからそうしたのです。

普段から食物アレルギーの話を中心に書いていますが、多くの小児科医が食物アレルギーには専門的治療をしていないのが現状です。つまり、いまだにアレルギー検査のみで食べられる、食べられないの判断をしています。

確かに数値が高ければ、アレルギー症状が誘発される可能性があるため、「完全に除去しなさい」という方法も症状はでないため、選択の一つと言えなくもありません。食物アレルギーは自然治癒傾向もあり、除去しているうちに治ってしまうこともあるのです。

その医師が、“ゴールは自分で決めて”、完全除去を指導すれば、しかもそれを患者さんが受け入れれば、「医療」としては成り立ってしまいます。

もちろん、当院ではこだわっていますので、“ゴール”は負荷試験を行ない、食べられるかどうかを確認しています。今の考え方は「食べられる範囲まで食べられる」、「完全除去はなるべくしない」という流れになってきているため、日本の第一人者の先生方となるべく同じ方針で医療を提供できるようにしているつもりです。

「ゴールは自分で決める」、医療にも十分当てはまると言うことがご理解頂けたのではと思っています。