昨日話題に挙げた北海道にお住まいで、上越市にご実家のある患者さんが早速負荷試験に受診されました。
卵と大豆を除去してきましたが、まずリスクの少ないであろう大豆から負荷試験を行ないました。来週北海道にお帰りになることは決まっています。
最初の負荷試験でアナフィラキシーでも起こしてもらったら困るし、本人も親御さんもめげてしまいます。しかも、処置で薬を使った場合、数日は影響が残ってしまう可能性があり、どうしても失敗できないと考えた訳です。
結果は、あっさりクリア。お母さんは何度も「来てよかった」と言って下さっています。ただ、私からすれば何も起きない可能性が高いと思っていましたし、プロとして当然のことをしたまでで、何度も言われてると恐縮してしまいます(汗)。
残るは卵の負荷試験。週末にでも行なう予定になっています。こちらも上手くクリアできるといいのですが。
昨日、ニュースでも報道されていましたが、6歳の女の子が造影剤によるアナフィラキシーショックで死亡するという痛ましい事故が起こってしまいました。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20140610-00000055-jnn-soci
「初めて聞いた」という方もいらっしゃるかもしれませんが、医師の間では造影剤によりアナフィラキシーショックを起こすことは知られています。私も勤務医時代は造影剤を使用したこともありましたが、何も起きず幸運なだけだったのかもしれません。どの医師にも降り掛かり得ることだったのだろうと思っています。
ご紹介したヤフーニュースの解説でも出ていましたが、数十万人に1人の割合だそうで、とてもお気の毒に思います。
日頃から食物アレルギーやエピペンのことをこの場で書いています。「病院にいて、何で死ななければいけないんだ」と思う方も少なくないと思います。外でアナフィラキシーショックを起こし、病院に搬送されるまでに手遅れになってしまったというなら、まだ分かると考える方もいらっしゃるでしょう。
実は、食物アレルギーよりも病気の進行が早いと言われています。こんなデータがあります。アナフィラキシーショックを起こす原因は、造影剤などの薬剤とハチ毒、食物などがありますが、心停止までの時間がそれぞれ、5分、15分、30分とされます。
言い方は変ですが、食物アレルギーは症状の進行が他の原因に比べてゆっくりであることが分かります。一方、今回の薬剤はたったの5分でショック状態に陥ってしまうので、命を救えなかったのだろうと思っています。
じんましん程度なら軽い副作用なので対応も時間的余裕があることでしょう。呼吸困難ならそんなに余裕はないですが、対応も不可能ではありません。最重症な状況だったので、病気の進行がとても早く、最悪の事態になってしまったのだろうと考えています。
ニュースでは過去5年間で55人が亡くなっていると言っていましたが、これまで報道で取り上げられることはありませんでした。私も不勉強ですが、子どもはとても少ない印象を持っています。だから、ニュースとして取り上げられたのかもしれません。
ヤフーの記事にも出ていますが、予防するような薬を使ってから検査するということが言われています。「何のことだろう」と思い調べてみると、検査前にステロイド薬を内服もしくは点滴することのようです。
私の調べたある大学のマニュアルにはそう書かれています。ただし、「エビデンスはない」と併記されています。つまり、医学的根拠が十分ある訳ではないという意味です。これも何とも言えないのですが、重症な食物アレルギーの患者さんにあらかじめステロイド薬を使用しておいても、アナフィラキシーショックはしっかりと抑えられるかと言えば、そうとは言い切れないというのが私の見解です。
患者さんには申し訳ありませんが、多くの人からアレルギーやアナフィラキシーショックに関心を持って頂くことは有り難いことだと思います。造影剤はアナフィラキシーショックを起こす可能性がある薬剤であり、しかも病気の進行が早いのですから、「エビデンスはない」なんて言ってないで、研究を進め「エビデンス」を作って欲しいと思っています。
今度こういった事故がないよう、対策が整備されることを祈っています。


