一昨日、某市の保育園の父兄会に講演に行ってきました。
アレルギー以外の話を最初に持ってきたということをお話ししました。ヒトメタニューモウィルスを調べる調べない、水イボを取る取らないは、医師の良心が顕著に表れる部分だと思っています。
つまり、ヒトメタニューモウィルスは調べると検査費用は医院の持ち出しになる、水イボは泣きわめくし、取るのが面倒と思っている医師は、そういった治療はしない訳です。
昨日も当院でヒトメタニューモウィルスの患者さんを診断しました。親御さんにしてみれば、熱が3日も続く原因を知りたいと思っておられます。直接治療に結びつかなくてもです。原因が分かって、難病ではないことを知り、安心できる部分はとても大きいはずです。
そもそもとても感染力が強く、熱の下がりにくい病気です。小児科医は、その子の通っている園に「ヒトメタニューモウィルスの園児がいる」ことを知らしめ、注意喚起をする責任があると思うのです。それが医院の損得を優先して考えるのは、人間だから仕方ない部分もあるとは思いますが、ちょっとというか、かなり違うと思うのです。
水イボも昨日だけで2~3人取りました。周囲から白い目で見られたり、周囲の子に感染させるんじゃないかとヒヤヒヤさせることもあるでしょう。治療の基本は速やかに除去することなので、医師は原則通り対応すべきです。
過半数の医院でそういった対応を取っていないと思われ、あたかもそうしないのがスタンダードと親御さんが思わされていることに敢えて不快感を示したいと思っています。
食物アレルギーに対する食物負荷試験も、しないのが“スタンダード”になっています。患者さんが負荷試験の存在すら知らされていないのは、「隠蔽」に近いと思っており、医療の不透明感につながっています。スタンダード通りにしなくても、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」的な感じになっていることがおかしいし、患者さんもそういった現実を知って欲しいと思っています。
時々偉そうなことを書いていますが、私も「全然ダメだな」と思うこともしばしばです。先日経験したケースは、私の中に深く刻み付け、今後の糧にしようと思っています。
10代のお子さんにソバの負荷試験をしました。
この歳になるとあっという間に親元を離れる年代になってしまうので、できるうちに何が食べられ、食べられないかをハッキリさせておく必要があります。
何年も前にソバで症状が見られていました。しかし最近の検査では0になっています。普通に考えると、「家で食べさせてみて」なんて私も言ってしまいそうですが(汗)、以前症状があったため、負荷試験を薦めました。それで今回の負荷試験となりました。
ソバ1本の半分から始め、本人も「美味しい」なんて言っています。上々のスタートを切ったという感じです。
徐々に増やしていっても「美味しい」と言ってくれています。更に増やして食べさせると、これまでのムードから一転します。表情が曇り、「気持ちが悪い」なんて言うようになりました。
それから2回ほど嘔吐しました。じんましんや咳などの皮膚、呼吸器症状はみられません。この場合の判定は、私なら悩みます。
つまり、アレルギー症状なのか、ずっと除去してきたので、これ以上食べることに不安を感じてしまったということもあるかもしれません。少し様子をみることにしました。
親御さんには、今日はシロクロをつけるための検査なので、症状が軽快すれば検査続行もあるかもしれないし、ダメそうなら中止しますなんて言っていたら、スタッフから「〇〇が出た」という声が…。
そう、じんましんが急に出始めたのです。一気に体幹に広がりました。これでソバはクロであることが判明しました。幸い、エピペン(アドレナリン)を使うかどうかというほどの緊迫する状況までには至りませんでした。
それにしても、ソバの血液検査が0なのに症状が出てしまうなんて「反則」です。ていうか、アレルギー検査で食べられる、食べられないの判断はできないと繰り返しています。0でもこんなことはあっても不思議でないことは頭では分かっていますが、でも“滅多にない”ことが起きたのかもしれません。
私が勝手に思っていたことですが、ソバがクラス2や3でも負荷試験で結構食べられることは経験上知っており、今回は「食べられる」ものと思っていました。
負荷試験はいろんなことを教えてくれます。ソバは除去すべきということが判明した訳ですが、私にも「修行が足りない」ということを教えてくれました。


