データ入力、頑張っています。
日々、診療にエネルギーを注いでいるので、プラスαである学会活動は結構疲れます。しかし、医師として頑張っていれば、周りから認められたいという気持ちもあります。また、自分がこだわってやっていることが他の先生等に役立つのであれば、そうしたい気持ちもあります。
私から学会活動を取り去ってしまったら、自由な時間は増えるのかもしれませんが、自分が自分でなくなる気がしています。
私が学会に参加しているのは、周囲に認められたいという気持ちだけではありません。アレルギーの専門医として、常に新しく、正しい情報を患者さんに提供したいがためです。特に食物アレルギーの考え方は、ここ最近ドンドン進化してきているため、乗り遅れては患者さんに迷惑を掛けてしまいます。
以前も書きましたが、開業医は孤独です。医院を訪れる患者さんは誰も「あなた間違っているよ」とは言ってくれません。もし、何らかの不手際があれば、往々にして「こんな医院、もう二度と来ない」となります。場合によっては、自分がミスしたことにも気付かず、「自分のやり方は正しい」と思い込んでしまうこともあるでしょう。
“我流”のやり方に慣れているかもしれませんが、それが根拠に乏しいものであれば、患者さんの症状を改善させることはできません。ただ、とてもおかしいと思っていますが、医師は誤診した方が、患者さんんが何度も来て儲かってしまうことが起こり得ます。
しかも、今の医療制度では、一人当たりに時間を掛けない方が収益が上がります。詳しく説明した方が、医院側には不利となります。医師とは言え、人間弱い方に流されがちなものです。よほど医師が強い意志を持っていなければ、良い医療は提供できないと思っています。
先週末、新潟市から大きな子が受診されました。上越の方に用があり、来られたそうです。
2日前に発熱があり、新潟市内の小児科で風邪の診断で、抗生剤をもらっていたそうです。喉が痛くなったと言うことで、当院を受診されています。
喉に異常がないかよく診ることになりますが、口内炎のようなブツが奥側に見えます。関東の方で猛威を振るっているというヘルパンギーナのようです。
ヘルパンギーナは、夏風邪のウィルスが原因なので、抗生剤は効きません。飲む必要はないと思いますが、2日前の時点では、ヘルパンギーナの所見があったのか、なかったのかよく分かりませんが、多分なかったのでしょう。となるとその時は細菌性の可能性もあった訳で、抗生剤を出すことは間違いではなかったのだろうと思います。
ただ、ちょっと驚いたことがあります。日頃から診ている訳ではないので何とも言えませんが、ちょっと話を聞いたところ、ぜんそくはなさそうです。ぜんそくは特有の症状を繰り返すので、診察時に症状がなくても、問診でだいたい診断ができるのです。
咳がすっきりしなかったそうですが、その時にかかりつけ医から「アドエア」が出されていたようです。
「アドエア」は重症のぜんそく患者さんの治療薬であり、軽いぜんそくのケースにも使いません。ところが、この患者さんには使用されていました。しかも、ぜんそくの可能性すら伝えられていませんでした。
推測するに、咳が止まらないので、半信半疑で「アドエア」を出したのではないかと思っています。
いつも言っているように、医師は患者さんの病気をできるだけ正しく診断し、病状にあった治療薬を選択し、治療することが仕事です。半信半疑でぜんそくの、しかも重症用の薬を使い、患者さんに一切説明がないのは、おかしいとしか言いようがありません。
分からなければ専門医に紹介し、どう診断し、どう治療するのか教えを請うことが自分を成長させます。今回のケースでは、そういうプロセスが全くなく、多分また咳の長引くケースに遭遇したら、同じような“根拠のない”治療が繰り返されるのだろうと思います。
私は、この医師の将来を案じてしまいます。開業医は、一人でやらなければなりません。紹介しない限りは、他の医師から教えてもらうことはまずありません。その点、総合病院であれば、一般的には同僚の医師に相談できるのは強みだと思います。
開業医は気軽に受診できるというメリットがあると思います。敢えて言いますが、こういう怖さを併せ持っているのだろうと思っています。


