昨日、下越地方の某市に伺ってきました。
小学校、中学校の職員に食物アレルギーの話をして欲しいという依頼がありました。当院からは100キロ以上離れていますが、もちろんOKです。
例えば、いろいろな小児科医にインフルエンザの話をさせると、同じような話になると思います。冬に流行る高熱の出る病気で、鼻水をもらってシロクロ付ける検査キットがあり、発症してまもなくは本当はインフルエンザなんだけれど、陰性という形で出ることもあること、タミフルやリレンザといったインフルエンザ専用の抗ウィルス薬を使用すること、解熱して2日以上経たないと登校許可書が書けないなんて内容になると思います。
一方、食物アレルギーだとどんな話をするんでしょうか?。きっと表向きは「アレルギー検査の数値が高いからと言って食べられないとは限らない」なんて言うんでしょうが、実際に負荷試験をやっていない医師の言うことには説得力も何もないだろうと思います。
確かに、地元の患者は地元の医師が守るということは大切ですが、知識のあまりない医師がしゃべるのなら、正直私が話した方が多くの情報を提供できると思っています。
昨日も当院の負荷試験で経験したケースなどを織り混ぜながら、1時間半しゃべりまくってきました。
例えば、生後8か月で卵を食べ、意識を消失した赤ちゃんが5年後に、今後の対応について相談医来られたケース。卵焼きを食べられそうと判断し、負荷試験をしクリアしています。また、以前も触れたように思いますが、生後5か月でミルクでアナフィラキシーショックを起こしていましたが、1年10か月後に負荷試験で牛乳200mlを飲めることを確認しています。
赤ちゃんの時に強い症状を起こしてしまったため、「一生食べられない」と思っている方も少なくないと思いますので、こういう驚きのケースを体験談として話せば、「ああ、そういうこともあるんだ」と思って頂けます。
これも以前触れた話題ですが、ピーナッツがクラス4と高く、なかなか負荷試験もできていませんでしたが、私自身は諦めていなかったので、4年後にアレルギー検査を再検したら、数値が1/10に減少していたため、「もしかして食べられるのかも」と思い、負荷試験を行ない、ピーナッツが食べられることを確認しています。
こういう話は例外的かもしれませんが、諦めなかったからこそ、つかんだ幸運だと思っています。中には、安易に「一生食べられない」なんて言う小児科医もいます。患者さんは往々にして医師の言うことを信じていますが、私はおかしなことを言う医師が多いことを知っているので、学校の先生方の前で具体的な例を提示し、諦めることなく専門医にかかり負荷試験で評価してもらうよう学校の先生方から親御さんに話してもらえるチャンスだと思っています。
こういう頂いたチャンスを、正しい情報を広く知ってもらうため、有効に活用しなければ、新潟県のレベルアップは望めないと思っています。
私の話の前半は、食物アレルギーの基礎知識的な話をしています。誤食時の対応が注目されていますが、まず「敵」を知ることから始めなければいけないと思います。
後半は、誤食時の対応をお話ししています。まず皮膚症状程度ならエピペンは使わないこと、内服薬でも十分対応できることが多いこと、呼吸器や消化器、全身症状が出れば、躊躇なくエピペンを使用すること、エピペンの有効性と副作用についてなどなど説明しています。
多くの参加の先生方が時折うなずきながら、私の話を聞いて下さいました。これまで親御さんや養護の先生に説明する機会も多く、必要時にほぼ適確にエピペンを使用できていますので、大丈夫だと思っています。
講演が終わったあと、もう一つ仕事がありました。養護の先生の集まりで、食物アレルギーの質問に答えるというものでした。幾つのかの質問に答えていきましたが、先生方がいかに勉強しているかが伝わってきました。
学校の中で唯一医学的な知識を持ち、アナフィラキシーショック時に先頭に立って対応していかなければならないので、あるべき姿だと感じました。実は、1年半程前の東京調布市での死亡事故は、養護教諭のアナフィラキシーショック時の知識不足も影響してるように思っています。逆に、そういう反省を踏まえて対処していくために、使える教訓はすべて使っていかなければなりません。
私も昨日の午後は“食物アレルギー漬け”のような感じでしたが、自分がこだわって取り組んでいるため、診療のほかに「やらされているもの」という感覚は全くなく、自己満足もあるのかもしれませんが(汗)、充実感で満たされます。ただ、もっと上手に話せるようになりたいと感じています。
やりきった開放感から、帰りは長岡市のホームセンターのペット館で白メダカと朱文金という金魚を飼ってきました(笑)。
来週は、更に遠方の市からお呼びが掛かっています。私は新潟県の食物アレルギーのレベルアップをまだまだ諦めておらず、もっともっと頑張らなければと思っています。


