来月上旬に三重で小児アレルギー学会が開催されます。
少し前にこの学会で13年連続で発表し続けていることに触れました。どれも思い出深いのですが、最も印象に残っているのが、一昨年の大阪での学会です。
それは、ミニシンポジウムのような形式で、私が開業医でもできる外来負荷試験について話す機会を頂いたからです。私のようなヒラの医師は「発表させて下さい」という形で発表を続けていましたが、この時は担当の先生の目に留まり「発表してもらいませんか」と白羽の矢を立てて頂きましたので、身に余る光栄でした。
その時に会場で、司会進行役の日本の第一人者の先生から「負荷試験を行なう目安は何ですか」と質問を受けました。私は確か皮膚テストと答えたと思います。
プリックテストと呼ばれる皮膚テストは、万能ではないのですが、大きく腫れればアレルゲンである可能性が高く、腫れなければ食べても問題ない確率が上がると言われています。
その先生の意図する答は、アレルギー検査の数値が下がっていること、でした。
アレルギー検査はどの医療機関でも行なえますが、皮膚テストは一部の専門医しか行なっていないようです。確かに、私は診察室でも患者さんに数値が上がっていれば、ケンカがヒートアップしていることを意味しているし、下がっていればケンカが和解し始めていると説明しています。
先日、負荷試験をやったお子さんは、卵白の値がクラス4から5に上がっている患者さんでした。ケンカが相当ヒートアップしているもかもしれません。しかも、負荷するのは卵焼きの予定でした。パッと見、相当リスキーな負荷試験に思えます。
それでも負荷試験を実行しました。私が気がおかしくなったとお思いでしょうか?(汗)。
私の負荷試験におけるモットーは「負けるケンカはしない」です。勝つ自信はそれなりにありました。私の自信の根拠は、カステラも含め、卵の加工品は大抵食べていたことです。
一般的には数値が上がっているので、分が悪いように見えますが、やってみなければ分からない状態だったのです。「数値が上がる」VS「加工品を食べている」という構図と言えましょう。
卵焼きの負荷試験の場合、リスクがあると思えば、少ない量から開始することもありますが、通常量から始めました。「数値が上がる」ことに若干ひるみつつも、「加工品を食べている」ということの方が、私の中で大きな比重を占めていたからです。
結果はあっさり書いてしまいますが、何事も起きませんでした。勝者は「加工品を食べている」方でした。
これから何が言えるかと言えば、我々は数値にとらわれ過ぎている傾向があるということだと思います。このケースは、例外なのかもしれません。ただ、私は似たようなケースでは、リスクを覚悟しつつ、同じく負荷試験をやると思います。
数値にがんじがらめにこだわり、食べられるものを食べさせていない患者さんや同業者をよく見ますが、もっと冷静になってくれればいいのにと思っています。私の予想通り、「加工品を食べている」>「数値が上がる」だった訳ですから。


