アレルギーで困っている患者さんはとても多いのが現状です。
乳児期にアトピー性皮膚炎を発症する赤ちゃんも少なくありませんが、顔中心に出る慢性の経過を辿る湿疹という形を取ります。小児科や皮膚科を受診して、大したことがないようなことを言われても、なかなか良くなりません。
答は簡単。すぐには治らない慢性の病気だから。あっという間に治るようなら、それは慢性ではなく、急性の病気に分類されます。
乳児期早期から湿疹に悩まされる訳ですが、もしかしたら生まれて初めてかかる病気かもしれません。風邪を引くこともありますが、1週間もあれば治ってしまいます。しかし、アトピー性皮膚炎はそう簡単には治らず、赤ちゃんが産まれて幸せに包まれているムードを一転させます。
だからこそ、正しく診断し、適切に治療したいところなのですが、少なくとも当院に“逃げて”こられる患者さんのほとんどは、まともに診断されていません。私が独自の診断法で診断しているのなら分かりますが、私はアトピー性皮膚炎のガイドラインに基づいて診断しています。
敢えて言えば、小児科医、皮膚科医がガイドラインに沿って診断していないと言えるでしょう。だとすると、何のためのガイドラインなのでしょう?。
専門医であれば、こだわって診療しており、学会にも参加して勉強するでしょうから、どちらかと言うとガイドラインは非専門医のためのツールだと捉えています。ところが、ほとんど使われていないように感じています。
昨日も触れたアレルギー診療の均てん化なんて、とても難しいのかと思っています。医師が正しく治療すれば、いくら慢性の経過を辿るアレルギー疾患であっても、好転させることは難しいことではありません。
今回添付した表は、全国調査で示されたガイドラインから外れた診療の実態です。今日はアトピー性皮膚炎の話ですから、まず一番上のアトピーの欄をご覧下さい。
2割の医師がステロイド軟膏を「できるだけ薄く伸ばす」と指導しています。学会ではフィンガーチップユニットといって、軟膏をチューブから第一関節分を取ると、それは大人の手のひら2枚分の面積に塗るよう言っています。結構、ベタベタに塗れることになります。
結局、アトピー性皮膚炎の湿疹部位はかなりガサガサで、場合によってはゴワゴワします。かなり凸凹な訳ですから、ある程度厚く塗ることでようやく皮膚全体に薬を行き渡らせることできます。逆に、そうしないとしっかりと治療できないのです。
昨日、当院から120キロ離れた街から患者さんが受診されました。痒い湿疹の相談だったのですが、かかっていたアレルギー科を標榜する小児科開業医からは、アトピー性皮膚炎とも診断されず、ステロイドもキンダベートを薄く塗り、良くなったら中止するように言われていました。
ガイドラインでは、十分に効果の出る強さのステロイド軟膏を選択し、十分な期間を塗って皮膚の炎症を沈静化するよう示しています。今回の表には「できるだけ薄く伸ばす」と指導する医師は2割となっていますが、私の印象はそんな少ないものではありません。
昨日も触れたように、アレルギーに興味のある医師がアンケート調査に協力し、そうでない医師は多忙さを理由に回答しない傾向にあります。昨日のアレルギー科を標榜する医療機関に3割も専門医がいるなんて少なくとも新潟県では有り得ない話です。
と考えると、この薄く伸ばす指導も2割とは思えず、これが4割、6割と増えるような印象を持っています。
120キロの距離を当院にまで足を運んでくれた患者さんには、ガイドラインについて時間をかけて説明しました。親御さんは薄々アトピー性皮膚炎だと気付いているのに、診断もされず、しかも十分効かない軟膏を「できるだけ薄く伸ばす」よう指導されていました。良くなるものも良くならないはずです。
お子さんを守るためには、こういう現状から目をそらしたらいけないと思っています。



