インフルエンザが市内の各地で発生しつつあるようです。
当初は直江津地区だけだったのですが、高田地区でも発生を確認しています。当院は、ぜんそくの患者さんを多く診ているため、発熱があり、咳も悪化してきた場合、RSウィルスやヒトメタニューモウィルスを考えていたのですが、インフルエンザも考えて診療しないといけません。
昨日もこれら3つを調べ、どれも出なかったお子さんがいました。こういった場合、診察室に3回は入って頂き、説明して検査を繰り返すことになります。何が原因か明らかにしようとすると、時間がかかります。
感染症では、胃腸炎のほか、溶連菌、アデノウィルスも見られており、なるべく正確に診断しようと努力しています。その上で患者さんの数も多く、新規受診の患者さんも多いので、神経を遣います。
昨日も触れたように、“乳児湿疹”と誤診され、過小治療で皮膚症状がなかなか改善しないというアトピー性皮膚炎の患者さんも多いです。そんな中、咳が長引くという患者さんが結構いらっしゃいます。
この前も、内科とその後小児科で“ぜんそく”の診断のもと、ぜんそく治療薬を処方されていた患者さんが、当院を受診された話をしました。どう考えてもぜんそくではなかったので、結核やマイコプラズマを考え一通り検査した結果、クラミジア肺炎と判明したケースです。
咳が長引く場合は、ぜんそくも考える必要がありますが、過去の咳の状態を確認すれば、ぜんそくかどうかはある程度判断できるので、そうすべきだと思っています。
咳が長引く場合、いろいろなケースがあることも知っておいて頂きたいのです。
1人目は、ぜんそくが過小治療で、運動誘発ぜんそくが出るために、マラソン大会に参加したくなく、咳をして参加を回避しようとしていたお子さん。マラソン大会は終わったのですが、その後もストレスを抱えているらしく、特有の咳をしています。心因性の咳嗽と考えています。
2人目も、咳が長引いており、もともとぜんそくがあり、内科で治療をされていました。咳が止まらないため、病院を紹介されたものの、数日で退院となりました。親御さんがおっしゃるには全く改善されていないため、また内科経由で当院を受診されています。
ぜんそくであれば、夜間に強い咳が出ることがほとんどですが、それが全くなく明らかにおかしい状況でした。こういう場合も心因性を考えます。呼吸機能検査も異常が見られず、より心因性の可能性が高まったと判断しています。
3人目は、4月から咳が長引いており、2件の小児科、耳鼻科、呼吸器内科と渡り歩き、半年以上経って当院を受診されています。この子も特有の咳で、ぜんそくではないのは明らかで、心因性咳嗽と考えています。
敢えて言えば、小児科は「長引く咳」にうまく対応できない人が多いようです。過去にも心因性咳嗽に吸入ステロイドが使われていたり、点滴を繰り返されていたり、麻薬系の鎮咳剤までも処方されていたりと、最初は“風邪”として治療し、長引くと今度は“ぜんそく”と考え治療されていることが多いようです。
先程も述べたように、ぜんそくならいきなり発症することは稀で、似た症状を繰り返すことが多いため、ぜんそくかどうかを判断するのはそんなに難しいことだとは思いません。ちなみに3人目の患者さんは、耳鼻科の先生には心因性の可能性を指摘され、内科の先生には「ぜんそくではない」と言われています。
これらの患者さんは、いずれもかかわった小児科医から適切な診断なり治療は受けられていないのです。特に3人目の患者さんは、咳が半年以上も続いており、誘因がずっと解決していないと予想されます。相当にストレスを抱え込んでいると推測され、ずっとSOSを発しているのに気付いてあげられなかった訳です。
私は県内の状況しか知りませんが、呼吸器に強い小児科医は少ないように思います。しかも咳が長引いても、内科の先生は紹介してくれるにもかかわらず、小児科医からの紹介は全くありません。
現在、心因性咳嗽を強く疑う患者さんはこの3名を抱えていますが、開院以来10名以上を診ています。心因性を疑うも親が信じたくないようで受診しなくなった患者さんもおりますが、誘因を見出し、それを取り除くことで咳が止まった患者さんも結構います。
長引く咳の場合、お子さんの心のSOSを発している咳もあるんだということを知っておいて頂きたいと思っています。


