世の中には、開業医と勤務医があります。
開業医は、一般的に入院施設を持たず、軽い病気をお手軽に治療するという役目を持つというイメージでしょうか。一方、勤務医は、開業医では対応できないような重い病気を治療することが期待されており、病院には医療機器が充実するため、精密検査も行なえることが多いと思います。
開業医も勤務医も、なくてはならない存在で、お互いを補いあい、協力し合って地域の患者さんを守るというのが“理想”でしょう。敢えて理想に括弧を付けたのは、なかなかそうされていないからです。
先日、ぜんそくで当院で診ている患者さんがまだ年齢が低いのに生理が始まったと言われました。この場合、思春期早発症という病気が疑われ、場合によっては治療し、抑えなければなりません。
親御さんも「これは産婦人科だろう」と考えて、その子を産んだ開業医の産婦人科に相談に行ったそうです。超音波検査などを行ったようですが、出血は生理が原因だったそうです。
となると、思春期早発症が疑われます。私も若い頃にこの病気の患者さんを診たことがあり、その時は勤務していた病院の産婦人科の先生に相談したところ、「私が責任を持って診ます」と言われ、内心ホッとしたものです。やはり慣れた先生に診てもらうのが一番です。
ということで、今回もその開業医で診てくれるものと思ったのですが、「うちでは診れない」とピシャリ。結局、困り果てて当院を受診されたのです。
ちなみに、この患者さんは別の病気で他の医療機関も受診しています。その病気に関しては、一般的な小児科医には対応できないため、もう1人主治医がいる格好になっています。
そちらに先にかかった時に相談したら、「田中先生が主治医だから、そちらに行くように」と言われたそうです。その先生は主治医ではないようです。
自分が対応できなければ、責任を持ってその病気を診てくれる医師を探すのが開業医のルールなはずです。ところが、今回のような患者さんから逃げて、責任を果たそうといない開業医はとても多いように感じています。
当院の専門とするアレルギーなんてひどいものです。昨日も生後2か月ですが、のちにアトピー性皮膚炎と診断されるであろう赤ちゃんが当院を初診されました。他の小児科で予防接種の時に、何の説明もなく治療が必要だと言われ、ポンとステロイド軟膏が出されたそうです。
そもそも何でステロイド軟膏が必要なのでしょうか?。その病気は何なのでしょうか?。病気の原因も考えもせず、軟膏さえ処方すれば、医院は儲かります。患者さんをバカにするにもほどがあります。
ちなみに全く効かないような薬が出されており、改善もしておらず、患者さんが当院に逃げてこられたのです。本来なら、自分が対応できなければ、できる医師に紹介するのが筋ですが、筋を通さない医師がとても多いと思っています。
いつも近隣の医療機関からアレルギーの紹介がないと言っていますが、アレルギーに限らず今回の思春期早発症のように、早く診断して、場合によっては治療を開始しないといけない病気でも責任を果たそうとしない開業医がいることに驚きを感じます。
日本人のモラルが低下していると言われて久しいですが、開業医のモラルも低下傾向にあるようです。患者さんは病気になるとお医者さんを信用するしかありませんが、そのお医者さんが信用に足る場合と、足らない場合があるということです。
患者さんが普通に考えて、良心的でないと感じたら、残念ながらそうでない開業の先生である可能性が高いと思います。


