小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

敗北
2015年07月09日 更新

昨日は、遠路食物アレルギーの講演に行ってきました。

もう福島県のすぐ隣というところで、医院から170キロ以上離れていました。高速道路でつながっているため、2時間もかからずに着きました。

その地域にもエピペンを持っている患者さんは数名いるようで、話を聞くとエビを食べて呼吸が止まったとか。何と高校生の本人も研修会に参加されていました。

詳細は分からないですが、誤食が命取りになり得ます。エビの悪いアレルゲンはトロポミオシンと言いますが、水に溶けるので、例えば中華丼のエビをよけて食べたり、茶碗蒸しの上澄みを飲んでも症状が引き起こされることもあり、要注意です。そんな重症であれば、エピペンを2本持つことも検討した方がいいのかもしれません。

来週の水曜も170キロ離れた街に伺う予定です。新潟県は広いので、場合によっては移動距離も相当ですが、新潟県の患者は新潟の医師が守るべきですので、大した苦にはならないです。

これは食物アレルギーに限らず、他の病気も同様に考えています。少し前に全身の皮膚のほとんどがゴワゴワした女の子が当院を初診されました。100キロ以上離れた街からでしたが、周囲がどういう訳か当院の受診を勧めて下さったようです。

とても重症なアトピー性皮膚炎だったのですが、親御さんがステロイドによる治療を頑に受け入れていませんでした。

いや、皮膚科で出してもらっていたのですが、私から言わせれば効かないレベルの軟膏が処方されており、塗っても良くならずに、次第にステロイド軟膏に恐怖心を持ってしまったようです。そんな状態で当院を受診されました。

開業医と言えば、小児科も皮膚科も診察がはやい、はやい。私はよく指摘しているつもりですが、症状が改善してないのに、診察がはやいというのは医師として問題があります。

私はそれを逆手に取ります。こういうステロイド忌避の患者さんに対し、時間をかけられるのも開業医ならではと思っています。

前回初診された時に、1時間以上かけてアトピー性皮膚炎の「標準治療」の説明をしました。ステロイド軟膏をしっかり使い、皮膚の炎症を封じ込める方法です。しかし、その日は結論は出ず、「また話し合いましょう」ということになっていました。

少し間が空きましたが、以前も触れたことのある、アトピーの指標になる「TARC」という項目も採血させて頂き、話し合いの参考に使おうということになっていました。

TARCも非常に高い値で、皮膚も苔癬化といって悪い状況でしたので、早く標準治療させて頂きたかったのですが、親御さんの気持ちは既に固まっていたようです。答はノーでした。

治療はこちらが命令するものでもなく、慢性の病気なので信頼関係の上に成り立つものです。当院は、標準治療しかできませんので、物別れに終わってしまいました。

過去にこういうケースで、何度か1時間くらい時間をかけて説得してきました。1人来なくなった患者さんがいたと思いますが、それ以外は治療を受けて下さったと記憶しています。

アトピー性皮膚炎のガイドラインができ、ステロイドを拒否する親御さんも相当減り、こちらも標準治療がしやすくなってきました。そんな中、久々の“敗北”です。無力さを感じますし、本来は治療法を選択する本人(お子さん)の意向は、もしかしたら標準治療を望んでいたかもしれず、本人に申し訳ないと思っています。

自分としては十分時間をかけたつもりでしたが、時間が足りなかったのかな。私の説明の仕方に問題があったのでしょうか?。親御さんがそれ以上の拒否の決意があったのでしょうが、いずれにしても大きな壁を感じてしまいました。

アレルギー診療にはそれなりの自信を持っていたつもりでしたが、自分の限界を感じさせられました。今後の課題として心に刻みたいと思っています。