週末、仕事が終わり、研究会に参加してきました。
小児ぜんそくのガイドラインが3年ほどの間隔で改定されてきましたが、最終が2012年となっており、すぐには新しいものが出ないそうです。
従来のものよりも更に医学的根拠のあるガイドラインを完成させるために、あと2年くらいかけて2017年に公表できるよう、学会側も動いているそうです。
日本の第一人者の先生方が集まり、特に手当が出ることもなく、貴重な時間を使ってガイドラインを作っているという話は聞いたことがあります。ぜんそくは呼吸困難を来す病気で、最近はほとんど見られないものの、昔は窒息死するお子さんもいるくらいでした。
小児ぜんそくの特徴は、成人ぜんそくと違って治る可能性が高いこと。是非とも治ってもらいわないと困ります。確かに重症で、ガイドラインに沿った治療をしても、入退院を繰り返すお子さんがいるにはいます。
最近、有効な治療が出てきて、このような超重症な患者さんにも抗IgE抗体という新しい発想の治療が有効であることが分かってきました。我々は、ある意味で、ぜんそくを克服しつつあると言えるのかもしれません。
ただ、以前よりもぜんそくは“取っつきやすい”病気になってきており、ガイドラインの普及で、専門医でなくてもそれっぽい治療はやるようになってきているようです。当院が開院した8年前と比べても、非専門医の治療も進化しているようです。
私の印象ですが、これだけ第一人者の先生方がガイドラインの作成にエネルギーを注いでいても、その進化の程度は小幅のように思っています。典型的な症状を繰り返しても、ぜんそくの診断がついてないこともありますし、治療も十分に症状を抑えられるものが選択されていないことも見かけます。
また、これまでぜんそくの最強の治療はアドエアのような吸入ステロイドに、長時間に渡り気管支をこじ開ける作用を加えた吸入薬だったのですが、ぜんそくと考えたらアドエアを選択する医師も見受けられます。
そう重くもないのに、最強の薬を出せば当然効きます。ガイドラインには過剰治療に注意と書かれていますが、「症状が治まったのだから何が悪い!」とばかりに継続させられている患者さんも見かけることがあります。
言うなれば、ガイドラインの上っ面を理解して治療していると感じられるようなケースは結構見かけます。研究会で指摘されていたことですが、オノンなどの薬を「6歳になるまで飲み続けなさい」という医師もいるようです。
そういう医師が言うにはぜんそくを予防するんだそうです。残念ながら、そういうデータはないと思います。ただ、学会側もそういう“自由”な治療をする医師の治療をデタラメであると断罪もできずいます。
確かに効くケースもあるのかもしれません。でも効かないケースに延々と薬を飲ませるのは、医者だけが儲かるということになってしまいます。ビジネスとして医療しているかのように感じる医師は意外といて、本来の「病気を治す」という観点から、結構ずれたことをする医師もいるのは残念なことです。
そもそもガイドラインはぜんそくに詳しくない医師のために役立ててほしいというもののはずなのに、ガイドラインをほとんど使っておらず、“自由”に診療している医師もいます。ガイドラインはデタラメな医療をなくすためという側面も持っているはずなのに、強制力もないため、“自由人”な医師が、言い方は悪いですが野放し状態になっているように感じています。
やはり医師の裁量権があって、ガイドラインは医師に強制するものではないと、まだ弱い立場のようです。この辺を何とかしないと、医学が進歩しているにもかかわらず、当たり前に受けられるはずの治療を、企業努力をしない医師にかかっていると受けられないということになってしまいます。
残念ながら、そういう現実も患者さんには知っておいていただきたいと思っています。


