小児科 すこやかアレルギークリニック

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「知りたいです」
2015年09月15日 更新

昨日の昼、大学の同級生から電話がありました。

あいにく午前中の診療が終わらず、電話する間もありませんでした。午前中で80名ほどの受診があり、そのまま昼休みもほとんど取れず、午後の診療に突入しました。

タフだみたいなことを言われましたが、私は目の前の患者さんを良くすることしか考えていません。自分では患者さんが多い、少ないではなく、いかに自分の仕事をやるかという捉え方でやっています。タフって感覚は全くありません。

ただ、昨日は1日で百数十名の受診があり、新患も8名あり、負荷試験も少なめですが2名やり、診療の最中に診察室で熱性けいれんを起こしたお子さんを処置室に運び、処置を行いました。

こうやって振り返ってみると、結構タフなのかもしれません(笑)。

昨日は新患が多かったですが、一人は高校3年生でした。母の作った弁当を食べ、運動したらじんましんが体中に広がったそうです。起きたのはその日のことで、服をたくし上げると、まだじんましんが広範囲に残っていました。

ご存知の通り、食物依存性運動誘発アナフィラキシーを疑うケースです。この病気は、エピペンに関する講演をする場合、「茶のしずく石鹸で一躍有名になりましたよね?」と話すと通じることが多いようです。

「食べて」、「運動する」の2つの組み合わせで、アナフィラキシーを起こす病気で、「食べて」も運動しない、食べないで「運動する」ではアレルギー症状は起きません。

原因として小麦6割、甲殻類3割なんて言われていて、それだけで9割を占めてしまいます。昨日の弁当は、主食はご飯でした。おかずを聞いてみると、エビが2種類も入っていました。ちょっと知識があれば「エビかな」と疑う場面です。

アレルギー検査をやることにしましたが、その日に結果が出ないため、エビの皮膚テストもやることにしました。結果は明らかな陽性とは言えませんでした。

普通の医師なら、エビと決めつけるか、一応アレルギー採血を行うか、ひどいと、原因検索はせずに給食後に2時間は運動しないようにと指導する場合もあります。自分のお子さんがそんな扱いを受けたら、どう思うのでしょう?。

もっとひどいと、春だったこともありますが、周囲は食物依存性運動誘発アナフィラキシーを疑う状況で、スギ花粉を吸ったせいだと言われたケースも。運動欲求の強い年代に好発し、しかも血圧低下なども起こり得る病気にもかかわらず、いい加減な対応がされていることが多い病気だと思っています。

仮に血液検査が陽性であれば、今回の原因の可能性は高いのでしょうが、弁当にはいろいろな食材が含まれており、エビが今回の原因とは言い切れない訳です。

小麦ではなさそうなので、確率論的に言えばエビとなるのでしょう。ちょっと知識があると、「エビが原因と考えられるから、エビを食べないようにしましょう」という医師が多いでしょうが、それではちょっとモヤモヤが残ります。「エビを食べて運動負荷をしましょう」と言ってくれる医師はまだまだ少ないようです。専門医の間では、白黒つけることで、患者さんに何を避ければ、アナフィラキシーを回避できるかと指導するのが、患者指導というものだろうと思うからです。

通常なら紹介状を書くということになるのでしょうが、新潟県内には運動負荷を行う施設はほとんどなく、地元にはないため、自分でやらざるを得ません。8月末にエビの運動負荷をやったばかりです。

この患者さんには、「運動負荷試験をやる手もありますが、どうしますか?」と聞いたところ、親御さんでなく本人が「原因を知りたいです」と即答でした。本人が希望することを、そういう選択肢さえ示さず、いい加減な対応が取られていることが多いのが、食物依存性運動誘発アナフィラキシーだろうと思っています。

開業医で、この検査をやっている医師は全国的にみても、どれくらいいるのだろうかと思いますし、ほとんど聞いたことがありません。私の場合は周囲にやっているところがないため、やらざるを得ないのです。近々やることになりそうですが、そういう意味ではタフなのかもしれません(笑)。