昨日、午前中、当院のホームページにアクセスできない状況になっていたようです。ご迷惑とご心配をおかけしました。
サーバー側に障害があり、そうなっていたようで、じきに復旧しています。とりあえず、ホッとしています。
昨日も午後は講演でした。
食物アレルギーの講演の際、もう3年経ちましたが、調布の死亡事故のことに触れることが多いです。これがきっかけとなり、「第二の死亡事故を起こしてはならない」という方針のもと、日本の給食対応が大きく変わってきたからです。
アナフィラキシーショックで死亡する際に、死亡の原因は「窒息」と「ショック」の2つがほとんどを占めるとされています。
のどの奥が腫れて、息ができなくなるというのが「窒息」です。これは何となくイメージがわくのだろうと思いますが、もう一つ、「ショック」でというのがピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
以前、アナフィラキシーについて調べている時に、こんな記載を見つけました。「ショック時に循環血液量の35~50%が最初の10分間で血管外に漏出する」というものです。
「はっ!?」という方も多いと思います。人間の体は血管が張りめぐらされていて、心臓というポンプが作動し、全身に血液を送ることはご存知だと思います。心臓も含め、血管内には血液という液体成分が満たされています。血液が失われると、血圧が保てなくなってしまいます。
事故のニュースなどで失血死とか外傷性ショック死という言葉を聞くこともあると思います。血管が傷つき、血液の多くが血管外に出てしまうと、血圧が低下してしまいます。全身に血液を巡らすことができず、死に至るという状態に陥ります。
アナフィラキシーショックの際は、血管が傷つくことはないのですが、血液が血管の外に漏れ出てしまうのだそうです。それが先ほどの資料によると、たったの10分間で血管内の血液の1/3から1/2が失われてしまうことになります。
となると、大怪我で出血多量と同じようなことが起ってしまいます。怪我をした際、出血量が多いと、「死んでしまう」、「これは緊急事態だ」って誰でも分かりますが、アナフィラキシーショックの際は、出血はないため、緊急事態だとは把握できないのではないでしょうか?。体の中では大出血が起こっているのと似たような状況になっているにもかかわらずです。
本人がぐったりしていると、つい様子を見ている間にどんどん血管内の血液が更に漏れ出て、血圧がもっと低下し、死に一直線に向かってしまうなんてことになりかねません。ですから、アナフィラキシーショックの際は判断ミスが、まさに命取りになりかねないのです。
調布市の教育委員会の出した報告書をもとに当時を時系列で振り返ると、異変に気付いて、最終的に校長先生がエピペンを打つまで10分少々の時間経過があるようです。
「わずか10分」とお思いでしょうが、先ほどの資料ではその10分の間に血液の1/3以上が失われてしまうことになります。この10分が生死を分けると言えるのだろうと思っています。
園や学校の先生には酷だと思いますが、その10分間を生死の「生」の方に傾けるには、早めに対応していただくしかないと考えます。
具体的には、迷ったらエピペンを打つということでしょう。最近では、エピペンを打つべき具体的症状が提示されているので、迷う状況は以前よりは確実に減っているとは思っていますが、いざという時に迷うような状況はあるのだろうと思っています。
ちなみに、アナフィラキシーショックの際の緊急処置は、点滴をして心臓も含めた血管内に液体成分を入れて、血圧を保つようにすることです。太い針で2箇所から点滴をすることもあるようです。
園や学校現場では点滴はできないので、それは病院に着いてからやってもらうこととして、できることと言えば、エピペンを打ち、血圧を上げるようにするということでしょう。
今回は、怖い話をしてしまいましたが、「先手必勝」という言葉があるように、アナフィラキシーショックの際も先に手を打つことの大切さをご理解いただけたのではないかと思っています。


