小児科 すこやかアレルギークリニック

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流す人、こだわる人
2016年02月04日 更新

今度、触れようと思っていましたが、いま、ある大人の患者さんのアレルギー症状の解明を行っています。

この患者さんは、カレーを食べてじんましんと呼吸困難がみられたのですが、以前はカレーでアナフィラキシーというと、中に隠し味として入れられているピーナッツを考えないといけませんでしたが、最近はピーナッツを入れないカレーが増えているとか…。

別の原因を考えていて、メーカーに掛け合い、原因と思われる食材を何十種類も提供していただき、プリックテストを行おうと考えています。

昨年秋に、お子さんが皮膚のカブレ症状を繰り返し、かかった小児科と皮膚科で軟膏しか処方してもらえず、原因解明のために当院を受診されました。親御さんと一緒にそれが園庭に生えていたハゼの木でカブれていることを解明しました。

虫除けスプレーの霧を吸い、じんましんと呼吸器症状を起こすお子さんについても、虫除け成分が原因と考えています。時間がかかっていますが、ある大学教授のご協力を仰いで、原因を究明中です。これもスプレーするたびに、アレルギーとおぼしき症状を繰り返しており、学校の養護の先生から依頼があり、何とか原因を突き止めたいと思っています。

当院の玄関のところに水槽があり、最近はこうなっています。右側に白と黒のエンゼルフィッシュ、左側に赤い金魚(実は間に黒い出目金の尻尾が見えています)がいます。

これを見て「おやっ」と思って欲しいのです。熱帯魚のエンゼルフィッシュと金魚が一緒に泳いでいる。一方は熱帯に住む魚、もう一方は日本でよく見られる金魚です。ちょっと違和感を覚えませんか?。

実は、両方とも淡水魚で、エンゼルフィッシュは冷たい水には住めませんが、金魚は現在保温している27度前後の水温は全然オッケーなのです。夏場、気温が30度を超えると、水温もそれにつれてかなり上がりますし、それでも金魚は元気ですよね?。

子ども達(もしくは親御さん達)にそれに気付いて欲しくて、この組み合わせで水槽を置いています。

冒頭の大人の患者さんにプリックテストをやる予定ですが、あまりに検査項目が多いと、どうすべきか皮膚科の雑誌で勉強し直しているところです。

その医学書の冒頭に、ある大学教授が今回のタイトルで寄せ書きをしていました。内容としては、こんな感じです。

皮膚科医は毎日、時間に追われながら多くの患者さんを診ているが、よく分からない症状、不思議な症状、教科書の記載と合わない所見に遭遇することもある。それを「まあいいか、こんなこともあっていいだろう」と流す医師もいれば、忙しくても「どうしてだろう?」、「何が起こっているのだろう?」とこだわってみるのは、大きな分かれ道になるというものです。さらに、「考えてみる」ことと、「解明してみる」ことにも大きな差があると書かれていました。

私はこれを読み、「なるほどな」と思いました。私も“流す”ことはしないようにしているつもりです。知らないうちにそうしている部分もあるのかも(汗)。なるべく“こだわる”ようにしており、自分の専門分野でなく、分からなければ、その道の専門家に紹介状を書き、返事を読むことで、それを今後に役立てようと思っています。

ただ当院の場合、ほぼ100%がアレルギーの患者さんなので、なるべく自分で解明する必要があるのです。虫除けスプレーの患者さん、カブレの木の患者さん、そしてカレーでの症状の患者さんは、ここ半年での患者さん達です。

過去にも鶏卵は食べられるけれど、ウズラの卵を食べると消化器症状の出る患者さんも経験しています。通常、鶏卵とウズラは結構似ているため、鶏卵アレルギーがあれば、ウズラの卵も除去します。

普通は、鶏卵が大丈夫なら、ウズラの卵も食べられることが多いのですが、「おかしい」と思い、負荷試験をやりましたが、やっぱり症状が繰り返しみられます。この患者さんには鶏卵OK、ウズラの卵除去の診断書を書いています。

それ以上解明のしようがなかったのですが、昨年の日本アレルギー学会で全く同じ症例がある大学から発表されていました。一応、私の対応は正しかったのだとホッとしています。

例えば、湿疹が出て他院で水ぼうそうと診断され、経過がおかしいと当院に相談に来られる患者さんもいらっしゃいます。やはり水痘ではありませんでした。他にもいろいろあり、直感的に診断し、実は誤診であったなんてケースは意外と多い気がします。

小児科も皮膚科も一人当たりの単価が安いため、しかも患者さんが外来に押し寄せるのは共通しており、流れ作業で診療に当たりやすいようです。アトピー性皮膚炎なのに“乳児湿疹”などという皮膚科医、ぜんそくなのに“風邪”とか“気管支炎”なんていう小児科医はかなり多く、結構“流す”医者は多いのかなと感じています。

時間のなさがそうさせているのでしょうが、ただ解明する時間は「作るもの」だと思っています。例えば、精査が必要だと説明し、時間的余裕のある時間帯に出直してもらうこともありでしょう。

日本の医療システムは、いっぱい診た方が儲かるため、しかも人間の体は自然治癒力があるため、テキトーにやっていても治ってくれたりします。必然的に“流す”医者が増えてしまいます。患者さんのために解明しようと時間をかけると、経営上不利になるのはおかしいし、“流す”医者は、「何故だろう」と気にも留めないため、専門医の紹介されることもありません。

日本のシステムは、ダメな医者を増やすことに加担しているんじゃないかと思う程です。格好つける訳じゃないですが、“こだわる”医者でありたいと思っています。