先日、隣町から湿疹のある赤ちゃんが当院を初めて受診されました。
両親にアトピー性皮膚炎があると、お子さんにかなり遺伝子やすいと思っています。今回のケースもお父さんがアトピー性皮膚炎でした。よくあることですが、問診で家族歴も聞かない小児科、皮膚科は多いですよね?。こんなに参考になるのに聞かないなんて、もったいないです。
生後1ヶ月から湿疹が出始め、いつもの話ながらアトピー性皮膚炎が見逃されていました。最近は、経皮感作のこともあり、アトピーならアトピーと早く診断することが求められます。
受診されたのが生後3ヶ月の時でした。問診と診察所見から、アトピー性皮膚炎であると診断しています。この場合、当院では採血をさせていただくことがあります。
卵や牛乳といった食べ物のアレルギーの有無を調べる採血と、「TARC」です。「TARC」はアトピー性皮膚炎の病気の勢いを表す検査項目です。
保険診療でカバーされるくらい一般的なはずですが、専門でない医師はほとんど検査していません。数値が高ければ高いほど、アトピー性皮膚炎のこじれ具合を示しているという感じでしょうか。しっかり治療すると、低下してきます。
当院は、あまり採血をしないため、このTARCの動きは頻繁に検査はしていませんが、学会で得た情報では、数値の下りが悪い時は皮膚の炎症がくすぶっており、それを治療強化に役立てた方がいいとされます。
生後6ヶ月以上では1367以下が正常値であるとされます。生後5ヶ月以下では正常値の設定がなされていませんが、この患者さんの場合、何と8200以上でした。このことから、アトピー性皮膚炎で、病気の勢いが強いのだろうと考えています。
当院の力を入れている食物アレルギーですが、ご苦労されている患者さん家族を大勢みてきているため、できば発症しないようにしたいと思っていました。
近年は、アトピー性皮膚炎の荒れた皮膚から食べ物が入り込み、経皮感作が起こり、それが食物アレルギーにつながると言われています。アトピー性皮膚炎の治療をしっかり行えば、食物アレルギーを予防できるのでは?とされます。
実際、重症な食物アレルギーの患者さんは乳児期に重症なアトピー性皮膚炎であることが多く、最近はそういった因果関係が指摘されているため、荒れた皮膚を早期に、的確に叩くことが発症予防につながると思います。
東京の専門病院のデータを時々紹介していますが、生後5ヶ月以内にアトピー性皮膚炎の治療を手がけられた早期治療したケースと、生後6ヶ月以降に治療をスタートした非早期治療のケースを1歳半の時点で比べてみると、食物アレルギーが早期群の方が軽かったとされます。
この話は、私の外来でとてもよく出てくる話で、アトピー性皮膚炎の早期発見、早期治療の重要性を訴えて続けています。ただ、当院に受診されるタイミングが、他院で適切に診断、治療されていない状態で受診されることが多く、すでに卵やミルクの数値が上昇していることがほとんどです。
先日も卵6、ミルク6、小麦6、その他諸々が陽性の患者さんが、困り果てて当院を初めて受診され、前医に対し「何やってんだぁ」と怒りを感じたケースを経験しています。結局、近くの小児科や皮膚科にかかり、改善がなく、こじれ始めてから当院を受診されることがほとんどなのです。
冒頭の患者さんも3ヶ月と早い受診でしたが、皮膚症状が意外と重く、すでに卵やミルクの数値が上がり始めているかもしれないと思っていました。検査結果を添付します(画像)。卵、ミルク、小麦、大豆いずれも陰性です。
あまりこういう早期から治療を手がけられたケースはほとんどないのですが、やはり早期に治療に取り掛かることができると、経皮感作を防ぐことができるのかもしれないと思った次第です。
確かに、放置していれば卵やミルクの値が上がってきたかどうかは分かりません。ただ、TARCも高く、アトピー性皮膚炎の勢いは強いと思われ、経皮感作が進んでもおかしくないケースではあります。もしかしたら、早期介入で、食物アレルギーを予防できるのかもしれないと思っています。
私のやりたいのは、これなんです!!。あわよくば、食物アレルギーを発症せずに抑え込みたいのです。
アトピー性皮膚炎を診断できないような小児科医や皮膚科医は、経皮感作なんて興味も知識もないでしょうから、いい加減な対応をされている間に食物アレルギーを発症、悪化してしまうのかもしれません。いかに早く当院など専門医にもとにたどり着けるかがポイントでしょう。
ちなみにこの患者さん、1週間後に再診していただきましたが、皮膚はツルツル。驚くほど改善しています。この状態を維持し、できれば経皮感作をブロックし続けたい、そう思っています。



