2月14日は、私にとってはバレンタインではない大事なイベントがありました。
食物アレルギー研究会です。6回くらい発表したかなと思っていたのですが、数えてみたら7年連続でした(汗)。
小児アレルギー学会も、毎年発表していますが、こちらは14年連続です。「よく発表ネタが尽きないな」と思われるかもしれませんが、こだわって診療していれば、いろんなケースを経験さんせていただいているし、ここ最近は自院の研究成果を披露しています。
食物アレルギー研究会は、1、2番目に力を入れています。なぜなら、会場が一つしかないため、日本の第一人者の先生に自分の発表を聞いてもらえるから。小児アレルギー学会は、会場が何カ所もあり、同時並行でやっていますので、聞いてもらえる場合と、そうでない場合があるのです。
ここ最近の発表の趣旨は、ズバリ「開業医にも負荷試験を勧めましょう」ということです。
この場でも時々触れていますが、学会幹部は負荷試験は「専門病院に紹介してください」というスタンスのようです。そりゃ、近くに有名な病院があれば別ですが、関東や大都市にわざわざ新潟から行ってもらうのも何ですし、地元の患者は地元の医者が守るというのが、私の基本方針です。もちろん、自分ができないような難しいケースは、やぶさかではありませんが…。
そういう専門病院は、すでに負荷試験が数ヶ月待ちと聞きます。「紹介してくれ」と言う割りに、現状では受け入れ態勢に限界があります。確かに、やり慣れた専門医がやった方がいいのに決まっていますが、そうやって門戸を狭めてしまうと、負荷試験を受けたくとも受けられない患者さんが増えてしまう可能性が高いのです。
当院は加工品を使った負荷試験をやっています。卵クッキーやミルククッキーを3枚食べさせるという方法です。卵焼き1個、牛乳200mlのごくごくわずかしか摂らせていないことになります。
多分、専門病院の先生方は、「負荷試験はアナフィラキシーを起こす恐れがあるから、開業は手を出さない方がいい」と言いたいのでしょうが、当院の場合、加工品を含む負荷試験をやっており、3枚という規定量を食べた時点で終了しています。
ほとんどの患者さんがアナフィラキシーどころか、蕁麻疹さえも起こしません。つまり、無症状で試験を終了できるのです。「そんなの負荷試験とは呼べない」という先生もいるでしょう。確かに負荷試験とは、症状を起こさせて初めて、「ハイ、これ以上はダメですよ」というモノだからです。
症状を起こしてしまえば、患者さんはその食材を怖がり、完全除去を続けることになります。症状を起こさないようにして、わずかでも食べ続け、あわよくば慣れさせていくという方法はありだと、私は主張しています。しかも、症状の出る確率は、当院のデータから極めて低いことが分かっています。
食物アレルギーのガイドラインには、「食べられる範囲まで食べることができる」と明記されています。こんな方法でも、ガイドラインの方針に何ら矛盾はしないのです。
幸い、卵クッキーやミルククッキーに含まれるタンパク量が分かっており、早見表を見れば、他の商品にどれくらいのタンパク量が含まれるかも明らかになっており、それ以上食べさせないように指導すれば、安全に食べ進めることができます。患者さんのQOL(生活の質)は完全除去よりは、はるかにいいかと思っています。
昨年は、卵クッキー、今年はミルククッキーのデータを披露しています。症状が出る確率は低く、アナフィラキシーもほとんど起こしません。当院は、一般診療と同時並行で負荷試験を行っていますが、症状が誘発されることはほとんどないので、診療を中断して患者さんの手当てに当たることは、滅多にないのです。
この方法であれば、特に軽症の患者さんには安全に負荷試験を行うことができ、開業医でも十分可能でしょう。専門病院の先生方には中等症、重症の患者さんに専念してもらうことができます。
そういう主張を行ってきました。最近は、ある原稿の締め切りと、学童保育の研修会の講師も重なっていて、食物アレルギー研究会の準備もあり、睡眠時間を削り、対応してきました。
学会発表がなければ、だいぶ気も楽だったことでしょう。ただ、学会幹部は開業医には負荷試験をさせたくない方針のようで、それは“危険”じゃないかと思っています。全国的になるべく開業医も負荷試験に参加して、重い患者さんは専門病院で診てもらうようにすることが、日本の食物アレルギー環境を良くすることだとおり、それを強調したいがために、学会発表をしてきたかったのです。
こういう主張をしている開業医はほとんどいません。これは私の役目なのではないかという義務感が、私をそうするように駆り立てているように思います。
発表後、私の元に来てくださった方もおり、それなりに反響はあったようです。これからも日本の食物アレルギー事情を改善させるための提案があれば、どんどん主張していきたいと思っています。


