昨日、水曜日の午後ということで市内の中学校に行ってきました。
割と早くから講演の打診がありました。その中学校にこの春上がるお子さんが、その学校にとっての初めてのエピペン所持者で、なんと2人いました。2人とも私が主治医ということで、主治医に聞くのが一番ということだったのでしょう。
食物アレルギーの患者さんは増えており、必要なのに処方されていない患者さんは多いと思われます。医師の知識不足が原因です。しかし、食物アレルギーの関心が高まってきていること、何年も前ですが1本1万円で買っていたエピペンが保険適応になったことなどがあり、処方は今後も増えていくと予想されます。
この学校では、初のエピペンの患者さんなのでしょうが、これからはどの学校にも複数のそういった患者さんがいるようになるだろうと思っています。となると、教職員は誰でもいつでもエピペンを打てるようにしておかないといけないということになるのだろうと思います。
話を伺うと、昨年は消防隊員からエピペンの打ち方の指導を受けたとのこと。全国的に指導するのが消防隊員ってケースは結構あることのなのだろうと思っています。何故なら、食物アレルギーに詳しい医師がいないから。
多くの医師が食物アレルギーといえば、アレルギー検査の数値だけをみて食べられる・食べられないの判断をしているのが現状です。
さすがに全国的に負荷試験をやる医療機関が徐々に増えてきていますが、負荷試験の存在を知っていても、専門医に紹介することはあまりないようです。このごに及んで、負荷試験を“隠蔽”するなんて最悪です。
そういう医師は「オレはこの方法でずっとやってきた」とでも言いたいのでしょう。患者さんに正しく、最新の医療を提供しようというつもりもない医者がいかに多いことか…。医者から「数値が高いから除去しなさい」と言われれば、反論できない患者さんがほとんであるということを悪用しているとしか言いようがありません。
これだけ世論が食物アレルギーに関心を持っているにもかかわらず、努力しようとしない小児科医が多いことが全く理解できません。こういう事実を患者さん達は知るべきでしょう。
学校側も、消防隊の方には申し訳ないけれど、消防隊員のエピペンの指導と言えば、多分打ち方だけに終始するでしょうから、それでは物足りないと思っていただきたいのです。
昨日は、食物アレルギーの知識について私の患者さんの経験も含めて、1時間以上お話ししてきました。もちろん、2人の患者さんの病状やアナフィラキシーの既往の有無、エピペンを処方した経緯、負荷試験の実施状況など詳しく説明してきました。もはや主治医でなければ話せないレベルです。
食物アレルギーの研修会は全国各地で実施されているでしょうが、こういった主治医が学校や園に出向いて、主治医として学校側と情報を共有するという場がほとんどないことが不思議に思います。
主治医なら責任を持って、そういう活動をすべきです。学校側は重症な患者さんを預かるに当たり、不安で仕方なく、主治医からいろいろ聞くことで、少しは冷静に対応できるようなると思っています。
私は、重症な患者さんを学校側に預かっていただくと捉えているため、患者さんを守ろうと毎週水曜日の午後に園や学校を回っています。そういう発想が全国的に少ないのはどうしてでしょうか?。毎週ではややキツイかもしれませんが、そんなことは言っていられません。
研修会はいろいろな形態があって構いませんが、ベストは、その子の通う園や学校に主治医が出向いて、病状をお話しすることであると確信しています。


