熊本の地震で被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
私も新潟で大きな地震を2回経験していますが、余震の規模も大きく、甚大な被害をもたらしています。天災に人間は為す術はありませんが、一刻も早い終息を願っています。
先日、当院で診ている患者さんから他の医療機関で“負荷試験”を受けた話を聞きました。いや、食物負荷試験ではなく、低身長の患者さんです。
私の場合、いつも負荷試験と書いていますが、厳密には食物負荷試験です。小児科医は他にも負荷試験をやることがあります。その一つが、低身長にまつわる検査です。
お子さんが、背が低く、一定の割合以上に小さかった場合、病的な場合があります。治療可能なのは、成長ホルモンが足りなく、身長が伸びないケースです。
この場合、入院して負荷試験を受けることがあります。要は、成長ホルモンの分泌を促すような薬を内服や点滴で投与し、成長ホルモンを経時的に調べます。普通なら成長ホルモンが増えるのですが、成長ホルモンの分泌が増えず少ないままなら、成長ホルモンが少ないために、身長が伸びないと判断します。
この負荷試験に使う薬は何種類かあるのですが、小児科医なら一番嫌なのはインスリンだと思います。ご存知のように糖尿病の時に使う、血糖を下げる薬です。
インスリンを使い、血糖が下がると、成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンには血糖を上げる効果があるからです。となると、この場合は、故意に血糖を下げる必要がある訳です。
私も何度か勤務医時代に経験がありますが、お子さんが血糖が下がり、眠くなったり、具合が悪そうになったりさせりことになるので、いつもベットサイドに張り付いて、いつもで血糖を上げられるようにブドウ糖注射を用意しておきます。いつも何かあったら困るとビクビクしながら、検査に望んでいました。
血糖があまり下がらないと十分な刺激にならない可能性があります。低血糖の際の症状の出方は個人差がありますが、今回の患者さんは血糖が25まで低下したそうです。重大な症状が出なかったそうで、やれやれです。
こういった検査は、検査入院という形で行うので、開業医の私がもう行うことはないでしょう。ただ、食物アレルギーと低身長の負荷試験、どっちがいいかと聞かれれば、即座に食物アレルギーと答えるでしょう。
しかし、多くの医師は低身長の方と答えるのではないかと思っています。いずれの検査も子どもに負荷をかけるので、検査をすることにより、症状が出ることがあります。しなければ症状は出ないので、何か問題が起これば、医師の責任となります。
それでも低身長の検査入院は、全国各地で行われており、インスリンの負荷試験を実施したことのある医師は、とても多いと思っています。同じ負荷試験なので、ある程度覚悟の上でやることになりますが、同じリスクを背負ってでもやらなければならない、食物負荷試験はなぜ広まらないのだろうと思っています。
私の知る限り、研修医を指導する上司の医師が低身長の負荷試験の指導はするのに、食物アレルギーの場合の負荷試験は指導しない(できない)ということなのだろうと思っています。
指導医が研修医に対し、食物アレルギーには食物負荷試験が欠かせないと指導すれば、「そういうもの」と思ってくれて、実施するのが当たり前になるのだろうと思っています。指導する立場の医師がそうしていないので、このままでは食物負荷試験は広まることはない、そういうことなのだろうと思っています。


