昨日、新潟市から転居してきた患者さんが当院を初めて受診されました。
咳がひどく、初めてゼーゼーしたそうです。実は、上越市内の目立つ小児科を受診し、“風邪薬”を出さて、良くならないということで、当院を受診されています。
ゼーゼー言うのであれば、ぜんそくを考えないといけません。確かに今回が初めてかもしれませんが、その前にぜんそくらしい症状を繰り返したはずです。何故なら、ぜんそくはウィルス感染をきっかけに痰がらみの咳が長引き、それを繰り返すことで、次第にゼーゼーいうようになるからです。つまり、敢えて言えば、起こるべくして起きた「ゼーゼー」と言えましょう。
この辺は、咳が長引くとか、風邪薬を出しても効かないとか、疑うべきポイントはあったはずですが、新潟市にいる時から、“風邪”と診断されていたようです。
「アレルギーマーチ」という決して新しくない概念があります。0歳でアトピー性皮膚炎、食物アレルギーを発症し、1歳くらいにぜんそくも、のちにアレルギー性鼻炎も合併していくというアレルギー体質のある子のアレルギー疾患の発症順序を示しています。
最近、触れている「経皮感作」から考えると、「アレルギーマーチ」は理解しやすいと言われます。理論は置いておいても、そういう順番でアレルギーの病気が重なって発症しやすいことは、小児科医、皮膚科医、耳鼻科医なら理解しておかないといけません。
今回の患者さんは、ぜんそくを疑うべき症状で受診された訳ですが、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、鼻炎がないか聞いてみては損はないと考えています。
0歳の時から“乳児湿疹”があり、皮膚科に通っているのだそうです。言い方は悪いですが、「やっぱり」と感じました。痒くて、慢性の経過を示しています。アトピー性皮膚炎が疑われる状況です。
しかし、親御さんがアトピーがあるため、アトピーが心配で「うちの子、アトピーじゃないですか?」と皮膚科医に尋ねたら、「アトピーじゃないけれど、乾燥肌だ」と答えたそうです。
アトピーじゃないと言い切る根拠はどこにあるのでしょうか?。詳しく聞いてもやはり経過と現在の状態からするとアトピー性皮膚炎と診断できそうです。残念ながら、この皮膚科医はアトピーに詳しくなさそうです。しかし、120キロ離れた上越市に転居した後も、自分のところに通うよう言ってきたそうです。責任を持って診るということは、きちんと診断し、それに基づいて治療できることだと思っています。
あと、食物アレルギーが心配になるでしょうが、卵でじんましんが出たことがあるそうです。これも地元の小児科医から「2歳まで除去」と言われて、2歳を過ぎたら自宅で食べさせるように言われ、現在は食べられるそうです。
これもお気づきですよね?。2歳まで除去は根拠はなく、かかりつけ医が食物負荷試験をやるべきでした。家で食べさせて、アナフィラキシーでも起こせば誰が責任を取るのでしょうか?。今は低年齢のうちから、負荷試験を元に安全な量を提示し、自宅で少しずつ食べさせていくのが、責任ある食物アレルギー対応だと思います。
卵アレルギーとかあると、他のものも食べさせるのにブレーキがかかってしまうことは往々にしてあることです。もう3歳なのですが、ピーナッツやソバ、魚卵など心配で除去を続けているそうです。それも除去する根拠がある訳でもないため、アレルギー検査をさせていただくことになりました。検査が陰性なら、食べさせてみようとなるでしょうから。
ちなみに、鼻水が治らないため、耳鼻科にも行っていました。アレルギー性鼻炎かもしれないと言われていましたが、家族歴、この子のアレルギーの病気の状況からすれば、鼻炎もほぼ確定でしょう。
アレルギーマーチとういう概念を元に、アレルギーを理解した医師が診れば、一発でいろんな病気を見抜くことができると思っています。ところが皮膚科、小児科、耳鼻科とさまざまな医者に通い、無責任なことを言われ、肝心の親御さんが自分のお子さんが病気を何も理解していないという、気の毒な状態でした。
時間をかけて説明しました。途中、大粒の涙が頬をつたいました。時間と労力をかけていろんな医者を回ってきたにもかかわらず、お子さんの病気を把握してあげられなかったことや、お子さんに適切な医療を受けさせてあげられなかったということなどが悔しさ、虚しさとなって表れたのかなと思っています。
遠くの皮膚科に通う必要もなく、当院でぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、あるかもしれない食物アレルギーを診ていくことになりました。
新潟市は政令指定都市で、多くの医療機関が集中する大きな街です。こんな感じではアレルギーの医療レベルは大丈夫かなと心配しています。


