小児科 すこやかアレルギークリニック

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食べられないものが増えていく
2016年04月21日 更新

昨日も、講演に行ってきました。

最近、行く学校は、エピペンを初めて預かるので、主治医である私に講演依頼がくるという格好です。これってとても有り難い話です。

エピペンの使い方って誰でも話せますが、その学校にとって大事なことは、アレルギーを持つ生徒の病状を知っておく必要があります。となると、主治医以外に適任者はいないことになります。

先週の学校もエピペン所持者は2人いたのですが、今回も2人いました。その2人の病状も話さないといけません。1人は卵アレルギー、もう1人は花粉症がらみの食物アレルギーの患者さんでした。

当院では、卵アレルギーだと卵クッキーで負荷試験を行っています。卵の含有量が少ないので、3枚程度なら多くの患者さんが食べられます。しかし、この患者さんは少ない量でも食べられませんでした。めげずに1年ごとに負荷試験をしても、症状が誘発されてしまいます。

ある程度大きくなってくると、除去する生活に慣れて、負荷試験の挑戦を回避するようになる場合もあります。私は諦めていないのですが、現状では少量の卵の誤食でアレルギー症状が誘発されるという話をしてきました。

もう1人は、言い方は失礼ですが、厄介です。食べられないものが増えていくのですから。

昨年春に、キウイでアナフィラキシーを起こし、病院を救急受診しています。そこでエピペンを処方され、その2ヶ月後に今度はビワを食べて、呼吸苦が見られたため、母がエピペンを使用しています。

リンゴやモモを食べても口の中がイガイガするようで、検査してみると、リンゴやモモはクラス5と高値を示しています。口腔アレルギー症候群は花粉症がらみのことが多く、シラカンバとハンノキがクラス6でした。

となると、シラカンバ花粉と関連の見られる食物である、リンゴ、サクランボ、モモ、洋ナシ、ナシ、イチゴ、ウメ、アンズ、プラム、ビワ、キウイ、セロリ、ニンジン、ジャガイモ、ピーナッツ、アーモンド、クルミなどで症状が誘発される可能性があります。

この患者さん、ここ最近一気に口腔アレルギー症候群と思われる症状を示す食べ物が増えています。先ほど挙げた食品の中で、今は食べられているけれど、食べられなくなる可能性が十分考えられます。

学校側には、その辺を理解していただく努力をしました。大抵は、卵や牛乳、もしくはピーナッツやエビ、ソバなどいくつかの食品を除去するというパターンは経験されているでしょうが、このように“食べられないものが増えていく”というご経験はまずないでしょうから。

難しいケースを主治医として、病状を説明し、誤食時の対応を理解していただけたと思っています。これって主治医にしかできないことで、大抵はどうしているかと言うと、親御さんが仲介者となり、医師の診断を学校側に伝えてもらうことになります。

ややこしい場合は、やはり主治医が責任を持って学校側に伝えるべきでしょう。全国的に医師が学校に出向いて病状説明をすることってやっていませんが、どうしてなのだろうと思っています。

なお、この患者さんの場合、他のアレルギーも発症しており、大変なことになっていますが、また別の機会に触れたいと思います。