昨日、他院に通っている患者さんが当院を初めて受診されました。
熱が4、5日下がらないそうです。他院に不満があったからこそ受診された訳ですが、熱が下がらないことが何より不安だったようです。
前医は、かかりつけ医として何もしなかった訳ではなく、インフルエンザの検査を2回、炎症反応を見る検査を2、3回やっていたそうです。
インフルエンザはだいぶ下火になってきたせいもあり、2回とも陰性。炎症反応も低い値で、「大したことはない」の一点張りだったそうです。確かに、言っていることは間違いではありません。
他に高熱が出て、なかなか下がらない病気で、インフルエンザのような症状を呈するものはRSウィルスとヒトメタニューモウィルスがあります。これを調べようとも思いました。そうそう、ちなみに突発性発疹を考えるよりは年齢が上でした。
実は、前医でぜんそくが隠れていることが見逃されていました。残念ながら、全国的でしょうが、ぜんそくを見逃す小児科医はとても多いようです。
こういうお子さんが、インフルエンザも含め、RSやヒトメタニューモウィルスという呼吸器感染症にかかってしまうと、大抵は咳がかなり悪化します。ところが咳は、私が予想したほど悪化していませんでした。RSやヒトメタニューモは違うという印象を持ちました。
診察すると、喉が赤くなっていました。膿は見当たりません。もう一つ、医院で調べられる項目としてアデノウィルスが考えられます。アデノは4、5日熱が下がらない病気です。
喉に膿が付いていれば、より疑わしかったのですが、お母さんに原因を知らせられればと思い、検査させていただくことにしました。
結果は、予想通りアデノが出ました。
その医院さんは、いつも診察が早く、あっという間に診察が終わってしまいます。原因の分からない不安は、とても大きいものです。その医院でもアデノウィルスは調べることができたでしょうから、親御さんの不安を汲んであげて、時間をかけていろいろ考えていたなら、原因を特定できていた可能性があります。
当院では、治っていない患者さんには時間をかけて考え、原因を特定するようにしています。そりゃあ、特定できないこともありますが、もう少し分かる努力はしていたと思っています。
また、ぜんそくを見逃さず、アレルギーの心得があったからこそ、見つけられたのだと思っています。
全国津々浦々で、一人当たりにいかに時間をかけないかという医療が展開されており、良くならない患者さんが犠牲になっている気がしてなりません。咳が出れば風邪と、安易に決めつけられています。
やはり、かかりつけ医であれば、患者さんの体質を見逃すことなく、キチンと時間をかけて診察することが重要だと思っています。


