ゴールデンウィークの最終日、休日診療所で仕事でした。
それなりに混雑していました。県外から来られて体調を崩した患者さんが多いと思いきや、地元の患者さんが発熱したと受診されることが多かったようです。
時々時間が空きましたので、小児アレルギー学会誌を読んでいました。私も知っている先生なのですが「患者さんのために医師はどう連携すれば良いか?」というタイトルで、アトピー性皮膚炎に関する論文を書かれていて、それが気になっていました。
アトピー性皮膚炎は、乳児から学童まで小児科医でも対応することがありますが、年齢が低ければ低いほど小児科医が、年齢が大きいと皮膚科医が診ることが多いようです。
医師は、どんな病気も何でも完璧に診られる訳ではありません。自分で対応できなければ、責任を持って専門医に紹介するのが筋ですが、筋を通さない医者は結構多いと感じています。
小児科医が、他のアレルギーに詳しい小児科医に紹介する割合は低いという結果でした。そりゃ、同業者でライバルな訳ですから、自ら利益を減らそうと考える、生真面目な医師は少ないということでしょう。
皮膚の専門家である皮膚科に紹介するケースもさして多くないようですが、アレルギー専門医ほど紹介する割合が多いそうです。アレルギーに詳しい訳ですから、ある程度は自分で対応できるはずですが、“自分はここまでできる、これ以上は難しい”というのが分かっているため、紹介するのだと思います。専門でないと、そういうことを分かっていないため、自分のところで診ようとするようです。
アトピー性皮膚炎の患者さんの多くがいくつもの医療機関を受診しているという実態にも触れられていました。3つ以上かかったことのある患者さんもかなりの割合でいました。
移った理由は、症状が改善しないから。専門でない小児科医でアトピー性皮膚炎にこだわって診療しているケースは極めて少ないと感じており、専門でない医師が紹介しないと先ほど述べましたが、結局は他の医療機関へ移ることになるのだろうと思っています。
アトピー性皮膚炎は慢性の皮膚疾患のため、しかも皮膚は目に見えるため、改善したかしないかは素人でも分かります。医師の実力不足などで良くならなければ、もっと良くしてくれる医師がいるはずと、医療機関を代えたくなる気持ちは分かります。
アトピー性皮膚炎の現状を理解できる論文だったと思っています。
ふと、地元を振り返ってみると、明らかにアトピー性皮膚炎と診断されるケースでも、乳児湿疹などと診断されており、今回の論文以下の対応をされているように感じています。いや、地元に限らず、新潟県全体にこういう傾向があるようです。
他の小児科や皮膚科に紹介をしない医師も結構いて、連携どころではないと感じました。今回読んだ論文のタイトルに「患者さんのために」とありましたが、「患者さんのために」やっていない医師も少なくないようです。
新潟県のレベルを上げようと一生懸命日々診療に取り組んでいるつもりですが、一向に上がっている手応えはなく、ドロドロしたものを感じています。


