小児科 すこやかアレルギークリニック

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かえって危険
2016年05月09日 更新

昨日は、ドライブがてら、十日町に行き、有名店で蕎麦を食べてきました。

幸い、うちの家族は蕎麦アレルギーはありません。患者さん達はそういうご苦労をされているんだという考えが、頭をよぎったりします。

それにしても新緑の季節となり、のどかな山道をゆっくりドライブしたのですが、暑くもなく、寒くもなく、いい季節だなと思いました。

十日町は、棚田が有名なところがあります。傾斜地でもわずかな平らなところを利用して水田として利用するものです。棚田に水がはられ、田植えの準備が始まっていました。久しぶりに心が洗われた気がしました(笑)。

先日、新潟市から患者さんが受診されました。食物アレルギーの相談なのですが、転勤で関東や関西を転々とされているようです。この春、新潟に転勤になったそうです。

患者さんが新規で受診されると、必ずしていることがあります。食物アレルギーで受診されても、アトピー性皮膚炎やぜんそくがないか聞いているのです。かなりの確率で見逃されているため、親御さんに病気の存在を知っていただく必要があります。

この分野は、真面目に取り組んでいるため、自分で言うのも何ですが、私より詳しくない小児科医にかかっているケースがほとんどですので、ましてや今回のように転勤の多い職業ですと、食物アレルギーの指導はもちろん、合併している病気についてもキチンと説明する必要があると考えています。

今回の患者さんは、先日アナフィラキシーを起こしています。新潟市内の医療機関にかかったそうですが、目先の対応しかされていませんでした。

つまり、エピペンが処方されていなかったのです。アレルギーに詳しくない医師ですと、こういうことがとても多いと感じています。一度アナフィラキシーを起こしている訳ですから、もちろん今後は誤食に気をつけるでしょうが、誤食がないとは限りません。なぜエピペンを処方しないのか、分かりません。

真面目に診療していると、言い方は悪いですが、上っ面だけみた診療をしている医師って多いと思います。そういう医師にかかると、咳が出れば風邪と短絡的に考える診療をしています。咳が長引き、風邪薬が効かなくても「風邪じゃないんじゃないか」という発想に欠けています。「あー、また風邪引いたんだ」とでも思っているのでしょう。

食物アレルギーも、誤食を起こしてもエピペンもそうですし、抗ヒスタミン薬などの誤食に備えた内服薬も処方されていないことが多いのです。アナフィラキシーを起こした患者さんは、次回にもっと重い症状を起こせば命を落としかねないと、私なら心配になります。

しかも、誤食により食物アレルギーが重症と判明した訳ですから、専門医に管理してもらった方がいいと考えないのでしょうね。

こういうケースでは、アレルゲンは一切除去と指導されるのでしょうが、実際は食べる努力をしなければ、改善の糸口はつかめないことになるので、やはり非専門医に診てもらっている方がかえって危険とも言えます。

食物アレルギーはアレルゲンを除去しておけばそれでよく、場合によっては「家で少しずつ食べてみて」と言えばことが足りると思っている小児科医がとても多く、専門医に紹介という発想を持てないことが危険であり、課題であると思っています。

少し遠いのですが、1週間後にエピペンを取りに来ていただくことにしました。ちなみに、親御さんは当院の待合室の冊子で初めてエピペンの存在を知ったそうです。

専門医にかかっていないと、かえって危険であることをご理解いただきたいと思っています。