冬場は、乾燥のせいでしょう、アトピー性皮膚炎の乳幼児の受診が増えます。
そんな新規受診の患者さんが一時減りかけて、またやや増えているような気がします。市内ではなく、市外からも受診があります。
先日、顔や体を搔き壊し、ジクジクがひどくなっている赤ちゃんが隣の街から初診されました。
赤ちゃんは「痒い」とは言いませんが、しきりに皮膚を掻くことで、「ママ、痒い」とSOSを送ってくれています。痒みはアトピー性皮膚炎の最大の特徴なので、搔き壊してジクジクしている皮膚をみると、私の場合「アトピーじゃないか」と感じます。
それまではその街の反対方向の女医さんの皮膚科に通っていたようです。話を聞くと、上のお子さんにも湿疹があり、何度も通ったのだそうです。そして下の子が生まれ、また湿疹が出ていたため、その開業医へ通っていました。
親御さんがアトピー性皮膚炎を心配して聞くと「アトピーかもね」なんて曖昧な答えが返ってきたそうです。湿疹は改善せず、知人に当院の受診を薦められ、当院に受診になったそうです。
受診された際、赤ちゃんのほか、母と祖母も同伴していました。母と祖母はこれまでかかっていた女医さんをいたくお気に入りで、周囲に「名医だ」と触れていたそうです。
申し訳ありませんが、私はその先生を名医だと思ったことはありません。何故なら、アトピー性皮膚炎の診断ができず、治療も十分なものが行われておらず、困り果てて当院に逃げて来られるケースを何度も経験しているからです。
今回の問題点は、アトピー性皮膚炎の診断基準に照らし合わせると、アトピー性皮膚炎の診断を確定してもいい状況だったことと、アトピー性皮膚炎の湿疹を良くするには、十分炎症を抑えるだけの強さのステロイド軟膏を選択すべきなのに、キンダベートが使われていたこと、ジクジクしているにもかかわらず、保湿剤が使われていたこと。ジクジクしているところを保湿したら、尚更ジクジクするとは思いませんか?。
要は、診断できない、治療できない状況ですので、当然赤ちゃんの湿疹は良くなるはずもありません。最近よく言っているように、湿疹を早く改善させないと「経皮感作」が進行し、食物アレルギーも悪化してしまいます。
その辺を時間をかけて説明しました。親御さんは“名医”と信じていたものですから、どんどん表情が曇ります。
私は、名医でないことを理解してもらうことも大切だと思っています。そもそも何を根拠に名医と思われていたのでしょうか?。残念なことに上のお子さんも、アトピーがあり、見逃されていたようです。
このように医療は、宗教的な要素が色濃く残っていると思っています。勝手に信用し、場合によっては裏切られます。こんなケースは何度見てきたことか…。
ちなみに、私も名医ではありません。名医の領域にも達していません。ただ、患者さんに正直で、良心的でありたいと思っています。それで十分ですし、今回のように患者さんの周囲の方が当院への受診を薦めてくださる状況に感謝しています。
アトピー性皮膚炎はなるべく早いタイミングで専門医にかかるよう言われています。アトピー性皮膚炎がこじれる前に治療を開始したいのと、先程言ったように「経皮感作」を防ぐためです。大事なのは、皮膚をいい状態を継続させ、食べ物のつけ入る隙を与えないことでしょう。
ジクジクの湿疹が改善せずに困っている患者さんは多いですが、私はこれを得意としています。1週間もあれば、十分です。今回の患者さんも顔やふくらはぎがだいぶジクジクしていますが、1週間後には改善させてみせると宣言してしまいました(笑)。
1週間後に宣言通り改善していると、ほとんどが私を信用し、継続治療させていただけます。お子さんの湿疹を改善させて欲しい親御さんと、プロのプライドにかけて湿疹を改善させたい専門医。両者の思惑は一致しています。
これまでそうやって対応してきました。これからも今の姿勢で頑張っていこうと思っています。


