当院は、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーに力を入れています。

もともとは福岡の専門病院にぜんそくを学びに行ったのですが、食物アレルギーの食物負荷試験に心を奪われ、なるべく食べさせるという方針が大切なんだと思い知らされました。

現在最も力を入れている食物アレルギーですが、それを防ぐにはアトピー性皮膚炎の診断と治療が大切であることが分かってきて、アトピーも力を入れなければならないと思っています。

食物アレルギーの正しい診療を求めて遠路遥々受診される方も多く、最近はアトピー性皮膚炎の新患が多いと感じています。ぜんそくはそれらに比べると、やや少ないかなと思っています。

ガイドラインが整備されたのが、ぜんそくが一番早く、オノンやシングレアなどの内服薬、フルタイド、アドエアなどの吸入ステロイド薬を使える小児科医が増えてきたため、要はかかりつけ医で対応できることが多いのかなと思っています。

ただし、専門医と同程度のレベルでぜんそく治療が可能かといえば、まだまだそうではないようです。

ぜんそく治療は、点ではなく線で捉えるべきと考えています。

患者さんが発作を起こしたとします。それが風邪がきかっけで悪化したと判断された場合、ぜんそく治療と風邪の治療を同時並行に行うことで、症状は改善して行くはずです。

ただ、風邪を引くたびに重い発作を起こすようなら、ぜんそく発作の予防が大事になってきます。発作を起こし、苦しくなることが分かっているので、苦しくならないように前もって予防の治療をしておく作戦をとるのです。

最近は、オノンやシングレアといった良い内服薬があるため、それで事足りることも多いのですが、それでも足りなければ追加治療が必要になり、それが吸入ステロイド薬ということになります。

ぜんそくという病気を流れで捉え、ここ最近調子の悪い状態が立て続けにあれば、治療を強化する必要があります。「点」で捉えていては、目先の発作を吸入や点滴で乗り切るだけの対応になってしまいます。最終的には、吸入ステロイド薬で症状を抑えていくことになります。

よく分かっていない医者だと、吸入ステロイドを一時的に処方して、すぐに止めてしまう場合があります。内服薬でも十分に症状を抑えきれなければ、吸入ステロイドをじっくり使って、ぜんそく発作を起こしにくいようなクセを定着させなければならないのです。

ぜんそくは、最近調子の悪い患者さんが減ったとされます。それは治療の進歩、ガイドラインの普及のせいだとされますが、いい加減に治療されているケースもよく見かけます。

下手をすると大人に持ち越してしまうため、子どもの時代に治しておきたいところです。そのためには、過剰くらいに治療して、発作を起こしにくいクセをつけたいところだと思っています。