先日、北海道で行方不明になっていた小2の男の子が無事に発見されました。
1週間も経ち、多くの人が生きていないと思っていたと思いますが、無事で本当によかったと思っています。
発見されるまでの間、ネット上ではいろいろな憶測がありました。両親を疑うものなど、心ない言葉が繰り返されました。でも、今回はその予想が覆された訳です。
数日前に、80キロほど離れた街から患者さんが来られました。食物アレルギーの相談でした。アレルギー科を名乗るある小児科にかかっていました。
以前も触れたと思いますが、アトピー性皮膚炎やぜんそくを合併しやすく、皮膚科医や小児科医が見逃すことが多いので、その辺も時間をかけて聞き出さなければなりません。
いつものことながら、アトピー性皮膚炎が見逃されており、咳も長引き、ぜんそくを発症しかけている状況でした。確か皮膚の方は皮膚科もかかわっていましたが、敢えて言えば、皮膚のプロとしての自覚が足りないのでしょうね。診断すらできず、当然のことながら治療も不十分なものでした。
ぜんそくと食物アレルギーは小児科医の出番でしょうが、咳は風邪薬しか出されておらず、食物アレルギーは「自宅で少しずつ食べさせなさい」と言われ、怖くて食べさせられず、困り果てて当院受診となりました。
「アレルギー科」の看板を挙げているといいました。新潟の“アレルギー科”ってこの程度の医院が多いのが現状です。専門病院で勉強しているとか、専門医の資格を持っているとか、そういう基準は何もなく、言ったもの勝ちなんて感じになっています。だから、信じられないようなレベルの“アレルギー科”が多いのです。
残念ながら、これも医院の利益を上げるためでしょう。無責任に患者を集めた方が金になりますからね。これが現実です。
この春の診療報酬改定で、かかりつけ医が押し出されているようです。そんなことは言われなくても、かかりつけ医として、かかりつけの患者さんには責任を持つべきですが、診断すらできない医師も多く、対応できていなくても専門医に紹介すらしようともしません。これって責任を果たしていることになりますでしょうか?。
私が日頃心掛けていることがあり、それは患者さんの症状を確実に良くさせたいと思っていることです。人間には自然治癒力が備わっており、感染症などは足を引っ張るようなことはしないようにしています。ただ、アレルギーは治りづらい慢性の病気なので、積極的に介入し、治療していく姿勢を取っています。
アレルギーでなくても、熱や咳の病気の時は、治らなければ再診をお願いしています。逆に、治れば来なくていいとも言っています。治らなければ、治療を見直すし、治れば自分のやったことは正しいのではないかと考えます。
分からなければ、学会などで日本の第一人者に相談に乗ってもらうこともあります。自分の手に負えなければ、畑が違うと思えば、治してくれそうな医師に紹介もしています。治ることにこだわってきたため、どういう風に対応するかというのは自分の中にあります。
そこまでするのがかかりつけ医としての責任だと思っています。今回のケースは、ぜんそくもアトピーも食物アレルギーもいい加減な対応をされていたのは間違いありません。改善がないのに、良くしようとしていなかった医師に責任があります。
いつも言っているように、適当にかわして、何度も通ってくれれば医院は儲かります。心がないことをやっても、十分利益は上がります。医師もそれに慣れてしまっているのでしょう。
それにしても、食物アレルギーで困っている患者さんは多くおり、多くの小児科医が知ったかぶりをして「家で少しずつ食べさせなさい」と繰り返しています。
私も言うことはありますが、それはアレルギー症状の出ないであろう、リスクの低い患者さんに言うのであって、リスクの高い患者さんにいうべき言葉ではありません。
心ない医療をする医師が多く、患者さんに責任を持とうとしない医師はかなりいます。食物アレルギーでは「家で少しずつ食べさせなさい」は心ない言葉であると思っていただいて間違いはないだろうと思っています。


