このところ、4か月咳が止まらない中学生の話をしています。
4つの内科をまわり、ぜんそくの薬を出されたこともありました。ただし、ぜんそくでないのは明らかでした。これまでの10数年生きてきた人生の中で、ぜんそくを思わせる症状は一度も起こしたことがなかったからです。
この歳でいきなり発症というのもなくはないのかもしれませんが、確率は相当低いでしょう。
生来健康であったことを考えると、ここは感染症を考えたいと思います。マイコプラズマやクラミジア、百日咳、結核などが一般的でしょうか。
私が医者になった頃から検査法も進歩しています。マイコプラズマ、百日咳、結核も診断手段が変わってきています。
マイコプラズマは迅速キットがあります。以前は、採血で抗体をみる方法が一般的でした。抗体の検出は、今回の感染か、以前の感染によるものかは区別ができません。
迅速キットは、問題点もなくはないようですが、検出された場合、現在の感染を表しているようです。便利なので、私はよく使っていますが、いまだに採血で判断しようとしている医師が少なくないようです。
実は、今回の患者さんは、マイコプラズマの迅速キットが陽性でした。マイコプラズマだけで4か月も咳が続いていたのかよく分かりませんが、マイコプラズマが原因である可能性が高まった訳です。
あとは、治療をすることになりますが、これまた医師により差が出てきます。治療にもよく使われるんだけど、効かなくなってきた抗生剤もありますし、あまり使われない分、とても良く効く薬などがあります。
これもマイコプラズマと分かり、効かないような薬を選択する医師もいます。耐性菌がいるからですが、私なら最短距離で良くする薬を選択します。だって、4か月も咳が止まらず、困り果てて受診されているのですから。
今回の件で、咳が長引いてもマイコプラズマを想定できない医師が少なくないことが分かりました。マイコプラズマと言えば、大きいお子さんから大人にかけて肺炎の主要な病原体で、診る頻度も決して低くないはずです。
同じ病気をみても、医師によって大きな差があるようでは、やはり日本の医療制度は崩壊していると言えるのではないでしょうか?。


