小児科 すこやかアレルギークリニック

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発症予防
2016年10月31日 更新

先日、日本小児アレルギー学会の学会誌が届きました。

「食物アレルギーの発症予防」と題した論文が成育医療研究センターの松本先生によって投稿されていました。

何はともあれ、それを読まなきゃと読んでみました。普段、そういうことを書いているので、そんなに目新しいことはないのですが、それを書いてみようと思っています。

いまだに、赤ちゃんにアレルギーを発症させないために妊娠や授乳中に卵や乳などのアレルゲンの除去を指導している医者がいるようですが、それは意味がないことが証明されています。

また、離乳食において、特定の食物を除去したり、摂取開始を遅らせることは、食物アレルギーの発症を予防できないことも分かっています。欧米ではピーナッツアレルギーで死者が相次ぎ、社会問題化しています。ピーナッツアレルギーだけは何とか予防したいと考えているようです。

実際、アメリカのガイドラインでは、妊娠、授乳期に母のピーナッツ摂取を制限するよう明記されていました。ところが、皮肉なことにそうしているにもかかわらず、ピーナッツアレルギーの患者さんが増加してしまったのです。現在では、ピーナッツの摂取制限の項目は取り払われています。

このようにピーナッツアレルギー対策に難渋していた訳ですが、近年いろいろなことが分かってきました。ピーナッツの摂取を遅らせることが発症を加速させる可能性が指摘されたのです。

有名な論文ですが、0歳からピーナッツを積極的に摂った群と完全除去した群を5歳の時点で比較すると、摂っていなかった群の方が10倍以上のピーナッツアレルギーが多かったのです。それ以来、逆に乳児期早期の摂取を推奨しようとしています。もちろん、0歳の子がピーナッツをボリボリと食べられるはずがありません。口溶けのいい、ピーナッツ入りのお菓子を食べさせているそうです。

それを受け、卵や乳製品、小麦、白身魚、ゴマ、ピーナッツを乳児期早期から食べさせると食物アレルギーの発症を抑えることができるかという研究がなされました。生後3か月から継続的に5つの食品を食べさせるため、研究のルールを守れなかった人達も多かったと聞きます。しかし、守った人達を集計すると、卵とピーナッツに関しては摂っていた方がアレルギーが少なかったというデータが出ています。

つまり、早期から食べた方が食物アレルギーを抑制する可能性があるのです。食物アレルギーと言えば、除去が唯一の治療とされているにもかかわらずです。

明日は、「経皮感作」について述べようと思っています。