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本末転倒
2016年11月14日 更新

先日、0歳の赤ちゃんが熱が6日続いていると当院を初めて受診されました。

もちろん、他の小児科にかかっていました。改善しないということで、口コミか何かで受診してくださったようです。

前医にかかった時に採血をしたようです。多分CRPという炎症反応を測ったのでしょう。親御さんは、数値はあまり悪くないようなことをおっしゃっていました。

熱が続き、咳が少し出るとのことでした。私の中で、患者さんが熱が続き、咳が出ると、RSウィルスや最近だとマイコプラズマを疑います。赤ちゃんがRSウィルスにかかると、かなり強い痰がらみの咳が出ますが、咳はそこまでではありませんでした。

熱が6日も続いていますが、印象は即入院という感じではありませんでした。まずは熱が続く理由を調べないといけないと考えました。前医は、どの患者も短時間でチャチャっと診療する小児科で、普段から原因検索とかしていない印象を持っていましたが、0歳の赤ちゃんにも採血のみ。

RSウィルスは陰性。RSウィルスと似た症状を示すヒトメタニューモウィルスも陰性でした。いまだにRSウィルスはもちろん、ヒトメタニューモウィルスをご存知ない保護者が多いには、医者が検査を避けるからでしょう。

熱と咳の出方は私の感覚から、マイコプラズマも疑える状況でしたので、0歳のマイコプラズマはほとんど経験はないのですが、当地では大流行しており、検査してみました。これも陰性でした。子どもがかかる呼吸器感染症で、医療機関で簡単に調べられるものは全て陰性という結果でした。

前医の採血から数日経っており、再度採血させていただくと、CRPは4.9でした。細菌感染が疑われる状況でした。正常は<0.3ですので、低い値なら「ウィルス感染でしょう」と伝えるつもりでしたが、何らかのばい菌が悪さをしているようです。

ここで更に検査をしようと思いました。アデノウィルスの検査です。ウィルス感染ですが、CRPが跳ね上がることが多いのです。原因を知った方が治療に役立てたり、親御さんに説明しやすくなります。いろいろ検査をしましたが、諦めずに原因究明したいと思っています。

実はアデノも陰性。もう一つは胸のレントゲンでした。肺炎があれば、病院に紹介しようと思いました。レントゲンを撮るのは、手間もかかり、撮りたがらない小児科は多いのが現状です。ひどい影があれば、入院の適応だろうと考えましたが、幸い影は認めませんでした。

最終的な私の診断は、細菌による気管支炎だと考えました。本人も食欲もあり、親御さんと相談の上、外来治療を行うことにしました。もちろん、既に熱は6日目ですし、これ以上続けば、入院治療が必要だろうと常識的に思ってはいます。

細菌感染があり、一気にケリをつけたい時は、点滴から抗生剤を入れることがあります。やや脱水もあるかもしれないということもあり、点滴から抗生剤を入れる治療を選択しました。

開業してから、毎日患者さんを診てますので、抗生剤の点滴をした時の経過は知っています。上手くいく場合は、当日の夜まで熱があるのだけれど、翌朝には下がっていることが多く、イマイチだと翌日は熱が下がっていません。

ドキドキしながら、翌日再診していただきましたが、先程述べた通り、夜までは熱はあったけれど、今朝からは下がっているとのことでした。

私は「ダメ押し点滴」と読んでいますが、ダメを押すため、翌日も点滴させていただきました。翌日解熱したということで、様子を見ると、たまにぶり返す子もいるのです。ちなみに採血でCRPは4.2だったかな。下がっており、抗生剤の点滴は効いているようです。

初めて当院を受診されましたが、当院の場合、前医から適切な医療を受けられずに、藁をもつかむ思いで受診される患者さんが多いので、普段からかかっていて、信頼関係のあるお子さんと同じクオリティーで診療したら、こんな感じになりました。

呼吸器感染症で3つも検査しましたが、治療に役立てるためですし、RSとヒトメタニューモなら特効薬がなく、経過を見守るしかないという“戦略”を選ぶことになります。これだけ熱が続いていますので、原因の究明はとても大切になります。

きっと総合病院ならこんな感じで検査を行うのでしょうが、開業小児科にかかって、こんな感じで診療を受けるのはあまりないのではと思います。何故なら、開業医は1人に時間をかけてはいけないからです。

いや、言い方が違いますね。1人当たりに時間を掛けないように診療しているから、と言う方が適切でしょう。

多くの親御さんが、医療のクオリティーを考えもせず、近くの小児科にかかっていると思いますが、多くの開業医が効率重視で診療しています。よく言えばテキパキでしょうが、悪く言えば、時間を掛けないために見落としの恐れがあり、必要な原因究明をしていない訳です。

確かに人間は自然治癒力があり、テキトーにやっても軽快することが多い。けれどもこじれた場合や重症な場合は、正しい診断と適切な治療が不可欠です。逆に、かかりつけ医ならば、そういう時にこそ力は発揮するもの。頼りにならなければなりません。

結局、前医にはその力がないことを、親御さんは思い知らされたようです。

繰り返しますが、効率を重視するため、クオリティーを切り捨てる何とも本末転倒な小児科医が多いということを知っておいて損はないと思います。