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ドン引きしてください
2016年11月28日 更新

日本の医療って世界有数のレベルだと言われますが、本当だろうかって思っています。

私はこれまで利益は二の次で診療してきたつもりです。利益を考えると、いろいろと制限がかかってくるからです。

実際、「薬漬け」、「検査漬け」という言葉があるように、日本の保険診療制度だといろいろと薬を処方したり、検査をすると儲かるシステムになっています。昔からそうやって、利益を上げようとしていた医者が存在していることを意味しています。

日本の医療費は年々膨大となり、国の財政を圧迫しています。それは高齢者が増え、ただでさえ医療費かかかるようになり、生活習慣病が増えていること、優秀な薬も出てきていますが、高価なことなども原因になっているのだろうと思います。

つい先日、ネットニュースで見たのですが、日本では湿布が年間54億枚処方されているのだそうです。欲しがる患者もいるのでしょうが、処方したがる医師もいるということでしょう。日本のシステムでは、何でもいいから薬を処方するのとしないのでは、収益に差が出てきます。

この薬漬け、検査漬けを減らすために、「包括払い」というシステムが生まれました。医療費をコンパクト化するためのアイテムです。医療を定額のセット価格としてしまうのです。処方や検査をし過ぎないようにするのが目的です。

すると医者は考えます。何もしない方が儲かるので、検査控えが起こり、過少治療につながってしまうのです。

私の患者さんが新潟市内に住んでいた時、アレルギー検査をして欲しくて、いくつかの小児科に検査が可能か数件に問い合わせてみたそうです。断れたり、2項目までならと言われたそうです。困っている患者に適確なアドバイスを送るのが医者の務めですよね?。

保険診療制度では「出来高払い」と「包括払い」があります。出来高払い制を採用していると、やたらと処方や点滴が多い医院になりますし、小児科でも低年齢では「包括払い」制を採用しているところが多いようです。ちなみに、当院もそうです。

先の話に戻りますが、検査したがらない臭いがプンプンしていますので、これらの小児科は「包括払い」制を採用しているのでしょう。

では、なぜ2項目だけか?。「包括払い」だと基本料金が3830円となっています。その範囲内で医療を済ませてしまわないと、赤字になってしまうのです。

ちなみにアレルギー検査1項目は意外と高くて1100円です。それに判断料と言って、判断する料金が1440円かかります。アレルギー検査は検査をすればする程、赤字になるというのは、検査費用が高いからで、では赤字にならないようにするためには、何項目に抑えた方がいいのでしょうか?。

2項目だけ調べると、1100円×2に判断料1440円を加えると、3640円
3項目調べると、1100円×3に1440円を加えると、4740円

包括払いの基本料金が3830円なので、それを超えないようにするには、検査をしないか、2項目以内に抑えておくしかないのです。患者さんからすれば、数百円をケチられて、「自分の子も安くみられたもんだな」と思われると思います。

これまで私は保険診療制度に無頓着で、つい先日までこのことさえ知りませんでした。日本で一番経営に興味のない小児科医なのかもしれません(汗)。

調べてみると、この制度下ではとにかく医者が何かすれば、利益が上がるようにできています。普通に医療行為をすれば十分くらいの報酬が付いてくるので、アレルギー検査で「そんなにケチらなくても」と思うのですが、10円足りとて損はしたくないという医師がいかに多いかお分かりだと思います。

私は初めてこれを聞いた時、といっても数日前ですが、ドン引きしました。特に低年齢の子は、いろいろな項目を検査する必要があり、2項目だけでは到底足りません。自分が損をしたくないのなら、専門医に紹介すればいいのですが、紹介すると自分の患者が減ってしまいます。だから、紹介したがらないのでしょう。

多くの医師にとって、診療を左右するのは結局はお金のようです。