例えば、重症な食物アレルギーの患者さんがいるとします。
最終的にアレルギー専門病院や大学病院に通い、免疫療法などの治療を受けることになるのでしょうが、最初は多分近くの開業医にかかっていたはずです。
最近の食物アレルギーのトレンドは、なるべく早く食べさせることでしょう。乳児期からピーナッツを食べさせ、5歳の時点で、ピーナッツアレルギーは食べ続けた群と、除去していた群では、食べ続けていた方がピーナッツアレルギーが少なかったという論文はあまりにも有名です。
私なら食物アレルギーの患者さんが受診したら、食べさせる努力をします。しかしながら、多くの開業医を中心とした医師が「除去、除去」と言っている現実があります。先程の重症な患者さんも、開業医が適切なアドバイスを送らなかったからこそ、悪化して重症化したなんてこともあろうかと思っています。
何事でもファーストコンタクトって大事だと思っていますが、開業医が最新情報を勉強していたら、重症化を避けられる可能性があると考えています。また、自分には対応できないと素直に認め、専門医に紹介してくれればいいのですが、「除去しておけばいいんでしょ」とばかりに紹介しないドクターがあまりにも多過ぎます。食物アレルギーをナメテかかっているんでしょう。
ただし、開業医は医師が一人しかいないことが多いため、誰も「あなた、間違っている」とは言ってはくれないし、誰もブレーキをかけてくれません。自分がこうだと思った方向へどんどん道をはずれていきやすいのです。
そのためにガイドラインがあるのですが、新潟県を見ても多くの医師がガイドラインを守っていません。ガイドラインを守らなくても許されると、高をくくっているのです。
昨日、水イボの患者さんが受診されました。2日前にも来られ、水イボ治療を行っていました。
上越市内の有名な皮膚科にかかっていました。ステロイド軟膏軟膏を塗るよう指導されていましたが、水イボにそういう治療はありません。かえって軟膏で水イボを広げてしまっていたようです。
結局、100個近くまで広がってしまい、困り果てて当院を受診されました。痛み止めのテープを貼り取りましたが、あまりにも多いので2回に分けました。1日目に30~40個、2日目に60個くらい取りました。
水イボに時間をかけて誠実に対応する皮膚科医は全国にどれくらいいるのでしょうか?。新潟県の現状を見ると、望み薄だと感じます。とりあえず、全身くまなく見て、ほぼ取りきったと思います。
何が言いたいかと言うと、おかしな対応をした皮膚科医は、当院でこんな尻拭いをしていることはつゆ知らず、また今日も同じようなおかしな指導を繰り返してしまうということ。また、かわいそうな患者さんが作られてしまいます。
開業医は、こうやって勘違い医者が作られてしまうのでしょう。ファーストコンタクトをする開業医こそが、真面目に最新情報を勉強し、正しい方向に導いてあげる必要があるのですが、正反対であることが少なくないという現実を患者さんは知っておくべきだと思います。


