お陰さまで、当院が開業医してあと数ヶ月で10年になります。
十年一日とはよく言ったもので、10年はあっという間と思う気持ちもある一方、何も変わらない現実にいら立ちもあるというのが正直なところです。
確かに、専門分野のアレルギーを活かして地域に貢献したいと考えていました。家族を養わなければいけませんが、医療を行うことで、患者さんの症状を抑え、社会に少しでも貢献したいと思っていました。食物アレルギーに関しては、確定診断である食物負荷試験を県全体に広めたいと考えていました。
ぜんそくを“風邪”と他の小児科から誤診されているような患者さん、皮膚科などからアトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”と誤診されている患者さんが多く受診され、正しく診断し、適切に治療してきました。食物アレルギーの患者さんも多く受診されています。食物負荷試験も年々件数が増えています。
多分、新潟県の開業医はもちろん、病院であってもトップクラスの診療範囲の広さだと思っています。
にもかかわらず、大して満足感が得られないのは何でだろうと考えてみました。
例えば、市内からアレルギーの患者さんが受診されたとします。熱が出たりすると、ぜんそくやアトピー性皮膚炎を誤診され、とんだ扱いを受けた小児科をまた受診してしまうのです。
私の見立てでは、アレルギーをろくに診れない医者は、感染症であってもいい加減な対応をしていることがほとんどです。効率重視で、最近の言葉でいう自分ファースト。研修医の方が、もっといい医療をしていると思えるくらいです。
当院のクオリティを知っていながら、低レベルな小児科を受診するのは解せないのです。確かに、風邪や吐き下しは何にもやることはないので、誰が診たって一緒かもしれません。それは結果的にであって、本当に風邪かどうか、胃腸炎かどうかも真面目に考えるべきでしょう。
親御さんも自分のお子さんがかわいいのでしょうが、子どもが具合い悪くなった時に近間で済まそうとする傾向にあるようです。誤診などいい加減なことをされれば、元も子もないと思うのですが。
開院して10年になりますが、アレルギーについては少しは貢献できたかなと思えるのですが、医者によって提供できる医療のクオリティの差はとても大きなものがありますが、それを知らしめるという意味では、満足とはほど遠いと思っています。
次の10年では少しは実現したいという目標を持つことにしましょう(汗)。


