小児科 すこやかアレルギークリニック

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気にしない、気にしない
2017年07月11日 更新

「気にしない、気にしない。私は一休。一休み、一休み」ってフレーズを知っている方は昭和の方です(笑)。

何を気にしないかというと、アレルギー検査の数値のことです。

多くの小児科医がアレルギー検査の数値を見て「食べるな」と指導しています。果たして本当でしょうか?。

例えば卵は食物アレルギーの中でも頻度は最多です。だからこそ、卵アレルギーの予防の提言が学会から出た程です。アレルギー検査はご存知の通り、0~6までの7段階あります。

確かに数値が高ければ高いほど、アレルギー症状は起こしやすくなります。あくまで確率論であって、0だと絶対に症状を起こさないか、6だと必ず激しい症状が起こるかといえば、そうとも限りません。

今の医療は、「エビデンス」が重視されます。これは「医学的根拠」という意味です。食物アレルギーのガイドラインを見ると、アレルギー検査の数値は参考程度にし、最終的には「食物負荷試験」で判断し、必要最小限の除去になるようにすると書かれています。

ですから、「エビデンス」に基づけば、医師全員がアレルギー検査を参考程度にし、負荷試験をやっているはずです。そうはなっていないのは、医学がまだまだ「エビデンス」に基づかず、先輩医師から教えられたことを“鵜呑み”にする習慣があるからだろうと思っています。

年配の医師は、数値が高い=除去と言ってはばかりませんし、後輩医師にもそう指導してきました。敢えて言えば、頭の凝り固まった年配医師には期待しておらず、若い医師に期待したいところですが、「食物負荷試験」をやりたいと考える若手医師はなかなか増えません。先輩医師から“洗脳”されているからだと思っています。

私の場合、「食物負荷試験」が全くと言っていい程広まっていない16年前に恩師が「少しでも食べさせてあげたい」という思いで負荷試験をやられている姿を見て、大きな衝撃を受けました。その衝撃がまだ私の中に留まっています。

それ以来、数値はどうであろうが、何か食べさせるという方針でやってきています。アレルギーの数値、「気にしない、気にしない」なのです。

「アナフィラキシーを起こしたらどうするんですか?」と心配されると思いますが、心配ご無用。卵を少なく含んだ加工品を食べさせるのです。ですから症状を起こしても、軽く済むことがほとんどです。

現在、学会に向けてデータ入力に励んでいますが、あらかた終わりました。それを元に集計しているところです。例えば、当院得意の卵クッキーを用いた負荷試験では、クラス6の患者さんは約4%、クラス5では約6%含まれています。

クラス4以上の患者さんは、30%を超えています。多くの医師がクラス4以上を高いと称し、完全除去を指導していることが多いと思いますが、90%くらいの患者さんが問題なく食べられています。

負荷試験にはこだわってやってきましたが、多くの患者さんに真摯に向き合うことで、当院独自のデータを持つに至りました。私のやり方で、特に患者さんが不利益を被ることなく、多くの患者さんが“食べられる”実感を持ってくださっています。

「気にしない、気にしない」のエビデンスはここにあります!。