小児科 すこやかアレルギークリニック

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クラス6の呪縛
2017年07月26日 更新

全国学会を終えて、ホッとしたいところですが、そうもいかないようです(汗)。

昨日も診療が朝から始まり、異変に気付きました。負荷試験の患者さんを先に診察し、負荷試験をスタートさせるのですが、年長児が多く、新潟市、長岡市、三条市と遠路の方が多いのです。

夏休みが始まったからですね。新規受診の患者さんも目立ち、結構疲れます。思わず、診療途中にドリンク剤を飲んでしまいました。

診療中にドリンク剤を飲むことはほとんどありません。でも、最後まで気合い十分で乗り切ることができました(笑)。

そんな中、気になった患者さんがいました。遠路遥々当院を初めて受診された患者さんですが、卵とピーナッツを除去していました。

ピーナッツはクラス3だったと記憶していますが、卵がクラス6でした。主治医からは負荷試験どころではなく「一生食べられないかもしれない」と言われていたようです。

医療って、医者があきらめたら、そこで終わりです。先週から始まったドクターヘリの医療ドラマ「コードブルー」でもこんなセリフがあったように思います。この患者さんをみれば、多くの医師がサジを投げるでしょうが、私なら逆に闘志に火がつきます。

何で食べさせられそうな医師に紹介しないんでしょうか?。卵がクラス6の患者さんに食べさせたことのない医師が「誰が診たって同じ」と思っているのでしょうが、全然そんなことはないんです!。

今回の全国学会で使用した当院のデータを披露しましょう。当院はまず卵クッキーから食べさせることが多いですが、卵がクラス6の患者さんですと22人負荷試験をやっていて、19人何事もなく食べています。つまり3人は症状が出た訳ですが、それも深刻な症状は出ていません。

食物アレルギーは、どの患者さんも発症する超えてはいけない量があるのですが、多くが卵クッキーくらいは許容していると言えるのだろうと思います。残念ながら、超重症となると、卵クッキーは摂ることができません。ただ、超重症はほんのごく一部だけだと思っています。

卵アレルギーがあると、最終目標は卵焼きとなりますが、卵焼きでもクラス6の患者さんに15人負荷試験をしていますが、約4分の3に当たる11人は食べられています。残念ながら4人は症状が出てしまいましたが、エピペンを使うような激しい症状は出ていません。

クラス6の呪縛って、アレルギー専門医でも多いようです。いえいえ、そんなことはないんですよ。私がそんなことを叫んだところで何も変わらないのかもしれませんが、この場で見て当院を受診してくださった患者さんもいるんです。

私はやってみなければ分からないと感じており、実際に負荷試験を行い、それを実感しています。しかし、多くの医師が自分で試すこともなく、それ以上の“思考停止”状態になり、先に進めない現状を憂いています。

1人でも多くの専門医がクラス6の呪縛から解き放たれるようになるといいなと思っています。