小児科 すこやかアレルギークリニック

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2017年07月27日 更新

昨日も、100キロ以上離れた町で講演でした。

これで2週間で6つのノルマを達成したことになりますが、来週も水曜と金曜に予定が入っており、ほぼエンドレス?。これじゃあ、なかなか疲れが取れない訳です(汗)。

例年ですと、夏場は感染症が減り、楽になるのですが、アレルギーの患者さんも多いですし、手足口病も一気に広がってきました。

全国学会は秋にありますが、それまでは大きなイベントもないようです。疲れを取らないといけませんが、子ども達をいろいろ連れていかないといけません、

さて、先週全国学会がありましたが、こんな話を聞きました。卵アレルギーなら卵焼き1個が目標になりますが、ある先生が負荷試験を少ない量で食べさせるという発想で、論文を書いたのだそうです。

論文は書けば世に出るものではなく、学会側がそれを読んで不備を指摘し、また書いた側が修正しつつ、最終的に世に出るという形になっています。その先生の論文は、世に出ることはありませんでした。拒否された理由は、「どれくらい食べられるか分からないまま、食べさせるのは反対だ」ということだったそうです。

数年前のことなのでしょうが、昨年出たガイドラインでは、目標量を「少量」、「中等量」、「日常摂取量」の3段階に分けましょうとなっています。

具体的には「少量」とは卵黄1個、加熱全卵1/32個、「中等量」とは加熱全卵1/8~1/2個、「日常摂取量」とは加熱全卵1個なのだそうです。

これは当院が10年前からやっている「卵クッキー」、「カステラ」、「卵焼き」の3段階と同様の考え方で、やっと学会が私のやってきたことに追いついたと思っています。以前からガイドラインでは「食べられる範囲で食べることができる」とうたっていましたが、少量食べて症状が出ないなら、ガイドラインの方針にも矛盾しておらず、その方法は「あり」だったはずです。

ところが、そういう方針の提出された論文を拒否し、その後にこういう方針を打ち出すのは、いやらしいというか、遅れているというか、そういうことだと思っています。

負荷試験で、症状を起こさないことは患者さんにとってとても重要なことですし、その範囲内で食べ続ければ、もっと食べられる可能性が高くなります。患者さんの最優先で考えれば、もっと早くこうなっていたのにと思っています。

特に食物アレルギーの世界は、これだけ日進月歩で、新しい知見がどんどん出てきています。学会側も保守的な姿勢から、もう少し革新的にならなければいけないのではないでしょうか?。