小児科 すこやかアレルギークリニック

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「1歳まで除去」はウソでしょう
2017年08月03日 更新

昨日、某県の食物アレルギーをお持ちのお母さんからメールをいただきました。

湿疹があり、気付いたら卵や小麦が陽性になっていて、お困りのようです。返事のメールを早々に書きましたが、似た状況で、最近経験したケースがとても参考になると思いましたので、ご紹介したいと思います。

患者さんは、初診時8か月の赤ちゃんでした。生後3か月頃から湿疹があり、近所の小児科にかかり軟膏をもらっていましたが、塗ってよくなり、止めて悪化するというのを繰り返していたようです。

アトピー性皮膚炎とは診断されていませんでしたが、アトピー性皮膚炎があったものと思われます。何故なら、大したことのない湿疹ならそんなに繰り返さないでしょうし、アトピーがあったから「経皮感作」を起こしたものと推測します。

アレルギー検査が行われ、クラスを書きますが、卵白5、オボムコイド(加熱卵白)6、ミルク3、大豆2、小麦1という結果でした。前の主治医も驚いたことでしょう。1歳までは卵、乳、大豆、小麦はいずれも除去するように言われていました。

結局、ご親切な方からの紹介で当院を受診されることになります。アトピー性皮膚炎の状態が良くなかったので、まず皮膚の治療を行わなければいけません。皮膚を落ち着かせてから、負荷試験を行うことにしました。

生後10か月の時、まず数字の低かった小麦としてうどんの負荷試験を行いました。50g食べたところで食べなくなりましたが、自宅で50g以内で食べてもらうようお話ししています。

1、2週間後に今度は豆腐(大豆)で負荷試験を行い、95g完食しています。卵は卵白がクラス5、オボムコイドが6ですので、多くの医者が除去と言うところでしょうが、微量なら何かしらは食べられるもの。卵黄で負荷試験を行い、1個完食しています。

乳は牛乳で10か月の時に負荷試験をしています。最初は1mlくらいから慎重に負荷を進めたため、トータル22ml摂れたところで、上出来過ぎるので、この日は終了としています。12か月の時、再度牛乳で負荷試験を行い、200ml完食しています。

前医から1歳まであれもこれも完全除去と言われていたのですが、何と1歳までに重症であろう卵以外はほぼ解除しています。これを「すこやかクオリティ」と言います(笑)。

何の根拠もなく、1歳まで除去なんて言われていましたので、逆に私のハートに火がつき、ご覧のような結果となりました。医者の言ったこととはいえ、結局ウソだった訳です。

昭和の人しか分からないでしょうが、「人生、投げたらあかん」ってキャッチコピーがあったと思います。何事も投げ出したらいけないという意味だったと思います。

アトピー性皮膚炎から「経皮感作」していろいろなものが上がってしまっても、あきらめる必要はなく、「投げたらあかん」のです。