小児科 すこやかアレルギークリニック

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いよいよ、提言に関する勉強会
2017年08月04日 更新

今日は15時から勉強会があるため、14時半頃には診療を終了させていただきます。ご了承ください。

以前、日本一早い〇〇ということで触れたこともあるのですが、本日が保健師さんを対象に、6月に日本小児アレルギー学会が発表した「卵アレルギー発症予防の提言」に関する勉強会があるのです。

この提言を出した意味は大きいと思いますが、いわゆる“副作用”の部分も決して小さくなく、しかし世に出てしまったため、親御さん達の関心も高いはずです。現場で相談を受けるのは、小児科医とは限らず、地域の保健師だったりします。その保健師さんの知識が曖昧であれば、患者さんに迷惑を掛けてしまうことにつながります。

であれば、せめて地元の上越市の保健師さん、栄養士さんのレベルを一定以上に上げておかなければならないと考えた次第です。

やはり私が気にしているのは、“副作用”の部分です。

あの提言は、「生後6か月から卵を少しずつ食べさせればよい」というところだけ注目されており、その部分だけしか理解していない方も少なくないと思われます。学会側は、アトピー性皮膚炎をしっかり治療しなさい、経験豊富な専門医に相談しなさいと言っているのですが、その肝腎な部分はクローズアップされていないようです。

場合によっては、親御さんが我流で食べさせてしまうのではないかと思っています。何も起きないことも多いでしょうが、多分一定の確率でアナフィラキシーは起こるのではないでしょうか?。この提言は、結構複雑なので、医師も含めてちゃんと理解できている人は非常に少ないと思われます。

ちょっと触れてみましょう。「生後6か月未満の乳児」を対象にしています。それ以降は、アレルギー検査で卵が一気に陽性に傾くからだろうと思っています。

そういった乳児をアトピー性皮膚炎があるかどうか診断しなさいということですが、私の印象では、9割の小児科医、皮膚科医が診断できないと思います。これは新潟県内、場合によっては転居などの理由で他県で治療を受けてきた患者さんをみて、そう判断しています。

かなり重症でもアトピー性皮膚炎と診断されていないことも多く、ましてや軽症なら、ほぼ全例が“乳児湿疹”呼ばわりです。早期の超軽症なら、アレルギー専門医ですら診断できないと思います。

かりにアトピーと診断できたとしても、これまた治療が全くなっていません。キンダベートを湿疹のところだけ薄く塗り、良くなったらすぐに塗るのを止めなさいと指導されていることが多いのです。

提言では寛解させた状態でないと、卵を食べさせてはいけないことになっていますが、少なくとも寛解させている患者さんは見たことがありません。まあ、しっかり治療されていれば、当院に逃げてこられる必要なないのですが…。

最初のところで、「生後6か月未満の乳児」と書きましたが、卵の値が高い人は除外かのだそうです。

ということは、事前にアレルギー検査を受けていなければなりません。採血なしに、卵の感作があるかどうかなんて分かりませんから。この部分は、※印で注意喚起されているだけですので、提言を詳しく読んでいるつもりでも、見逃してしまいかねません。

ちなみに、提言の元になった研究では、卵の値が0から5だったと思います。高い人もいたけれど、少量から食べさせて成功しているのですが、提言では検査が高ければ、対象外となってしまっています。この辺をご存知の方はどれだけいるのでしょう?。

ということで、その辺を市内の保健師さん達にじっくり解説してこようかと思っています。これも大事な私の仕事です。診療の休診もやむを得ないと思います。今日の午後15時からの休診をご理解いただけたらと思っております。