昨日は、夏期休暇前の最後の診療でした。
水曜午後はいつもはそんなに混まないのですが、はやっている小児科開業医の1日分の患者さんが午前中に受診されたようです。結構疲れます(汗)。
この前も書きましたが、数を診ようとすると、利益は上がりますが、当然のごとく診療のクオリティは低下します。
多くの開業医が、数を多く診ようとしているから、おかしくなるのであって、本来「腕の見せどころ」ということで、クオリティを下げないように患者さんのことを優先して考えるべきです。
昨日も水曜の午後で、市内の進学校で講演がありました。14時開始でしたので、何としてでも遅刻は避けなければなりません。仕方のないことですが、いついつまでに診療を終わらさなければいけないというシチュエーションって好きではありません。
幸い、13時頃には診療を終えることができました。数日医院を空けるので、医院の玄関で飼っているヘラクレスオオカブト、コーカサスオオカブトに4日分のエサを与え、カメやザリガニの水を替えました。
一旦家に帰り、講演のスライドを一部加え、13時半過ぎに出掛けました。余裕を持って間に合い、14時から講演をスタートできました。
小学校ではないので、10代の食物アレルギーについてお話ししました。症状が起こるとしたら以下のパターンでしょうか?。
1)小さい時からの卵、牛乳、小麦アレルギーが治っておらず、除去を続けているので、微量でアナフィラキシーを起こし得る
2)この年代の食物アレルギー新規発症は、甲殻類、果物が多いので、これらによりアレルギー症状が誘発される
3)食物依存性運動誘発アナフィラキシー(原因食品は小麦が多く、次が甲殻類)
4)牛乳、小麦アレルギーが治りかけで、運動しなければ何も起きないのに、運動でアナフィラキシーが引き起こされる
1)ですと、長年完全除去されており、かなり重症化していることが多いようです。誤欲は是が非でも避けなければなりません。4年半前の東京調布市の事故はこれに当たります。
2)ですと、アレルギーがないと思っていたのに、症状が起こります。なかなか予見は難しいでしょう。
3)だと、学校でいきなりアナフィラキシーショックなんてこともあり、緊急対応が必要になります。これも予見はできず、症状を起こしてみて初めて分かるので、厄介です。中学、高校の先生は頭に入れておくべき病態でしょう。
結構苦労するのが4)のタイプ。何とか牛乳を200ml飲めるようになり、制限を解除しようとすると、運動により“手のひら返し”が起こります。当院でも苦い経験が何度かあります。これもアナフィラキシーを起こすこともあります。
10代という身体も強くなってくる時期に起こす食物アレルギーは、重篤な症状を起こすことが多く、低年齢の時と違い、口の周りの蕁麻疹だけで済むことは少ないようです。ああ、口腔アレルギー症候群は例外です。果物を食べて、口の中がイガイガしたり、唇が腫れる病態です。
低年齢だと軽症も多いのですが、軽症なら成長とともにどんどん治っていくので、数は少ないけれど、治りづらい“選りすぐり”の患者さんだけが残るという格好でしょう。
緊急事態に備えて、どのような状況でエピペンを打ち、救急車を要請しなければいけないかを学校の先生と確認させていただきました。
これで,この学校では有事の際には速やかに対応していただくことが可能になったと思っています。