この前の水曜日、市内の進学校に行ってきました。
食物アレルギーの対応についての話をしに行ってきたのですが、ひとつお願いをしてきました。
私は若い頃はどうしても医者になりたかった訳ではなく、何となく医学部に入り、何とか医者になりました。そして何の取り柄もない小児科医になったのですが、アレルギーとの出会いが私に変化をもたらします。
福岡の専門病院で学び、恩師と出会うことで、CMじゃないですが「やる気スイッチ」が入ってしまい、15年以上スイッチが入りっぱなしです(笑)。
人前で話すことは大嫌い、もちろん学会発表なんてもってのほか!。スイッチが入った後は、学会発表も全国学会を年に複数回繰り返し行っています。アレルギーの啓発に努め、園や学校に出向いて食物アレルギーの話をするのは、全国でもトップクラスだと思っています。
ただし、やる気スイッチだけでは医療はできないかなと思います。医療には、自分で言うのも何ですが、良心と責任が求められます。これは親からの遺伝かもしれません(笑)。
医師が皆、良心的で責任感があれば、こんなおかしな医療がまかり通る現状にはなっていないはずです。特に開業医は、いかに数多くの患者をこなすかを考えており、いつも言っている通り、効かない薬を繰り返す処方すれば、驚く程儲かるシステムを最大限に活かし、利益ファースト、自分ファーストの“医療”を繰り返しています。
食物アレルギーには食物負荷試験が欠かせませんが、それを行っていない小児科医がきわめて多いのは、その証拠です。ガイドラインの方針をねじ曲げて、自分に有利な“医療”を繰り返す医者が全国にごまんといます。
医師を目指すような若手に、この体たらくな現状を話せば、伝わるものがあると思うのです。
医者になるには頭が良くないといけないと思っている学生さんも多いと思いますが、まともな医者になるには、頭の良さよりも良心的で責任感がある者の方がよっぽど適任だと思います。
私のような凡人にも、医師として生きていくことができるようです。高校生、大学生、医者になっての数年はかなり中途半端な人生を送ってきました。何かのきっかけでやる気スイッチが入れば、人生は途中からでも取り戻せるように感じています。
今の医療には、敢えていえば腐りきった部分も少なくなく、若手に期待しなければいけないと考えています。私のこれまでの歩みもちょっとは参考になるかもしれないと考えており、若手へのメッセージを伝える機会があればと思っています。