以前、全国学会があった時のことです。
衝撃的な発表がありました。卵アレルギーの患者さんに卵の負荷試験をやったところ、アナフィラキシーを起こし、しまいにはけいれんを起こしたという内容でした。
卵白の抗体価が高いため、卵を除去していた1歳児が、病院で負荷試験を勧められ、その結果こういう症状が起きたのだそうです。負荷試験でこんな症状が起きたとなると医師の責任も大きいと思います。幸い、後遺症はなかったそうです。
食物アレルギーは、どの患者さんにも「閾値」というものがあります。この量を超えたら症状が出るというボーダーラインのことです。
そのボーダーラインを超えなければ症状は出ないし、少し超えればちょっと症状が出て、大きく超えれば激しい症状が出ると認識しています。今回は、大きく超えてしまったのでしょう。
卵を未摂取のお子さんに負荷試験をやる時は、私も緊張します。「閾値」が全く分からないし、これは卵白が値がクラス2だから軽い症状しか起きず、クラス5だから強い症状が起こるというものではないからです。
当院では、卵クッキーから負荷試験をやることが多いのですが、3枚食べたら、数ヶ月は自宅でもその量を食べていただきます。もっと食べられる人には、無駄な作業からもしれませんが、食べ慣れて、足場を固めるという意味では「あり」だと思うし、負荷試験でこんなことも起きるのだとしたら、なおさら大切な姿勢ではないかと考えています。
特に開業医では、失敗は許されません。手堅く、そして確実に食べさせることは重要だと思っています。逆に、負荷試験のやり方を固定している専門病院の方が、アナフィラキシーを起こしやすいのではないかと考えています。
いずれにしても、負荷試験を安全に行うことに第一に考えて、前に進んでいこうと思っています。