当院はお陰さまでまもなく開院10年になります。
アレルギーを専門に取り扱う開業医として、上越の地に開業して、もう10年なんですね。私がこだわっているアレルギーは慢性の病気なので、すぐには治りません。
当院は、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーに力を入れてきましたが、ぜんそくはオノンやシングレアなどのロイコトリエン受容体拮抗薬の内服、吸入ステロイドを使い、アトピーはステロイド軟膏の塗布が基本です。食物アレルギーは除去が基本で、治るのを待つという他力本願的な治療しかありませんでした。
ぜんそくは、そういった薬を連用することで、ぜんそくの症状を起こしにくくして、ぜんそくを治そうとするものです。さほど重くなければ、治ってしまうお子さんもいます。
アトピー性皮膚炎もステロイド軟膏を塗るのをサボると、てきめんに悪化するし、掻くことで更に状態が悪くなります。やはり軽症の赤ちゃんのアトピーは、自然に治ってしまうこともあるようです。
食物アレルギーだけは、対処法がなかった訳ですが、そんな中でも食物負荷試験にはこだわっていました。食べられるものは、食べさせて上げたいですし、不要な除去を継続しないようにです。
「食べて治す」という概念が出てから、一転します。私も更に積極的に食べさせるようになり、そうすることで軽症の食物アレルギーはどんどん治っていきます。中等症もあせらず食べさせていくと、結構治るようです。超重症だと、微量でも食べさせることが難しいので、なかなかきっかけをつかめないようです。
ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの中で、治療法のなかった食物アレルギーが、実は食べさせると治っていくことが分かってきて、大逆転。ウサギとカメの話のようだなと思っています。