小児科 すこやかアレルギークリニック

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2017年09月11日 更新

先日、某市から4か月の赤ちゃんが新規受診されました。

地元では、アレルギー専門医から診てもらっていたそうですが、改善が思わしくなく、当院を受診された格好です。

アレルギーの非専門医ですと、“乳児湿疹”と言い、キンダベートなどの軟膏を使い、薄く塗って、数日でやめさせるという治療をするのが一般的です。今回は専門医ですので、どういう対応をしていたのでしょうか?。

既にアレルギー採血が行われており、卵、乳、小麦が陽性化していました。多分、アトピー性皮膚炎を想定しているのだと思いますが、母に卵の摂取を控えさせる方法が取られていました。

これは、私がいつも書いている「負荷試験」と逆の方法の「除去試験」と言われているものです。母に卵を除去してもらい、そうすることで“湿疹”が良くなればという考えでやっているものと思われます。

母が除去することで、てきめんに湿疹が良くなり、また母が卵を摂り始めることで、湿疹が悪化すれば、母に卵を除去し続けてもらう根拠になると思います。確かにそういう方法はあります。

ただ、私が思うには、既にアトピー性皮膚炎と診断できる状況であり、「経皮感作」が進んでおり、その結果として卵も乳も小麦も陽性化しています。多分、卵を2週間除去し、乳、小麦とやっていたら、「経皮感作」は進んでしまう可能性が高いのではないでしょうか?。

皮膚の治療も充分とは言えず、今回の患者さんはその辺に問題があるのだろうと思っています。

そもそも、6月に公表された、卵アレルギー発症予防の提言では、4、5か月のアトピー性皮膚炎を赤ちゃんをステロイド軟膏をビシッと塗り続けること(プロアクティブ治療)で、皮膚をキレイにして更なる「経皮感作」を防ぎ、6か月から少量の卵を食べさせる作戦をとっています。

ですから、やっていることは分かるのですが、あまりチンタラ対応していては、経皮感作を進行させ、新たな食物アレルギーを作る可能性を考え、プロアクティブ治療に持っていくべきだろうと考えています。

今回の患者さんを経験して、卵アレルギー発症予防の提言が出たにもかかわらず、アレルギー専門医であっても足並みがそろっていない現実が明らかになったと思っています。

最新情報をもとに、患者さんにベストであろう治療を提供するのが専門医の役目だと考えていますが、「提言」が進行していない現状を憂慮しています。