連休が終わりました。
今はそんなに忙しくはないですが、連日患者さんの症状をいかに良くするかを考えているため、結構疲れます。
今、力を入れているのはアトピー性皮膚炎です。「食物アレルギーじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。食物負荷試験を県内に広めたいというのがお前の希望じゃなかったのかと…。
食物アレルギーに力を入れた上での、アトピー性皮膚炎なのです。
その理由は、ご存知の方も多いことでしょう。当院が開院した10年前は、「経皮感作」という考え方もありませんでした。いかに負荷試験をして、無駄な除去を減らしていくかということを考えていました。
ところが、近年いろいろなことが解明されてきて、アトピー性皮膚炎の湿疹から食べ物が入り込んで食物アレルギーが作られることが分かってきました。しかも、食物アレルギーの発症予防も可能になってきました。つまり、アトピー性皮膚炎の治療をしっかりした上で、少量から食べさせることで、卵アレルギーを予防できるというものです。
最近の食物アレルギーの進歩は、昨年の「すこやか健康フェア」の講師を務めてくださった東京の成育医療研究センターの大矢先生が中心になっています。これもそうなのですが、アトピー性皮膚炎の治療をしっかり行えば、経皮感作を受けた卵やミルクの数値が低下するというものもあります。
数値が下がるということは、卵や乳と和解してきていることを表すため、食物アレルギーにとってとても意味のあることです。アトピー性皮膚炎の治療を全部の患者さんにキチンと行える医師は、ほとんどいないのが現状ですが、アトピー性皮膚炎の攻略が食物アレルギーに大きな一歩を生み出すことは、理解しておくべきです。
当院は、開院以来、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーに力を入れてきました。軽症ならまだしも、重症は対応が難しいのは知っていました。ステロイド軟膏を塗ると良くなるものの、減らすとてきめんに悪化してしまうからです。
しかし、アトピーのガイドラインには、ステロイド軟膏を十分量使い沈静化してから減量するというくらいしか書いておらず、自分なりに取り組んできました。今では、ステロイド軟膏を全体的に塗り、アトピー自体を弱らせる方法を用いており、それなりに対応できるようになってきたように思います。開院して10年。アトピー性皮膚炎の治療も学会で学び、進歩させてきたつもりです。
ところが、県内に目を向けると、この10年で1ミリさえも進歩していない小児科医、皮膚科医が多いように感じます。つまり、アトピー性皮膚炎の診断もできず、“乳児湿疹”といい、キンダベートなどの効果不十分の薬を薄く塗らせ、数日でやめらせることで、悪化を繰り返し、専門医に紹介すらしないいい加減な医者がかなり目立ちます。
10年の月日が経っても、全く進歩、進化していないなんて「ウソでしょ」と思われるかもしれませんが、これは現実です。
アレルギーは慢性的な病気なので、根治は難しいと思いますが、どんな患者さんでもそれなりに改善させることは可能ですし、それをステロイド軟膏を上手に使い、いい状態を少しでも維持していこうという考え方が主体です。
アトピー性皮膚炎の治療をもっと上手くなりたい。今後もアトピーの治療を追い求めたいと思っています。