今年の夏は手足口病が大流行しました。
開業して10年。これまでも流行はあったのですが、今頃になって、今年は大きな流行だったと思い知らされます。
と言いますのは、「爪甲脱落症」での受診が結構あるからです。こう書くと、何かいかめしい感じがするのですが、爪が剥がれ落ちる病気です。医師の間では結構有名ですが、一般の方の間ではまだあまり知られていない病態だと思っています。
手足口病になって、指先に水ぶくれができると、それは1週間もしないで治ってしまうのですが、忘れた頃になって爪に異常が現れるのです。具体的には爪の変形や、剥がれが見られるようになります。爪の根元にウィルス感染が起こると、正常な爪が作られにくくなってしまうのだそうです。
ここ最近、爪の異常を相談されることが多く、10人を超えています。こんなことは、当院では過去になかったことです。
治療というか、対応は新しい爪が生えてくるのを待つしかありません。そう言うと、皆さんホッとされます。
やはり原因を知り、対応を把握できることで、安心できるのでしょう。
小児科医は、子どもが小さいと親御さんを相手に応対することが多いのですが、原因を明らかにすることが仕事だと言えると思っています。
熱が続いても「風邪のせいだ」と繰り返し、座薬を処方するのと、例えばアデノウィルスが原因であることを突き止めて、「特効薬がないので熱が下がるのを待つしかない」と言うのでは大きな差があります。
原因を明らかにしようとしない医者って、かなり多いんですよね~。何とかして欲しいものです。