当院は、ぜんそくにも力を入れています。
当初はぜんそくの最新治療を知りたくて、福岡の専門病院に留学させていただきましたので、当然と言えば当然です。
当時は、アレルギー専門医と言えば、ぜんそく治療ができることが必須でした。今は、できて当然であり、食物アレルギー診療をできることが求められ、今後は昨日も言いましたが、アトピー性皮膚炎の治療がハイレベルにできることを求められると思います。
先日、こんなぜんそく患者さんが受診されました。医師から吸入器を買うように言われ、咳のひどい時は「気管支拡張薬」の吸入をするように指導されていました。
多分、セカンドオピニオンのための受診だったと思うのですが、当院を受診されています。「気管支拡張薬」と書いたのは、ぜんそく発作の時に、救急外来で行うような狭くなった気管支をこじ開け、楽にする薬を吸入するように勧められていたのです。
確かに、ひどい咳き込みで息がしづらくなっていたり、眠れない時に吸入して楽になれば、親御さんも一安心でしょう。
たまに医師から吸入器を買うように勧められ、メプチンやベネトリンという「気管支拡張薬」の吸入を繰り返している患者さんを見掛けます。今回の患者さんもそうだった訳ですが、私はそれではいけないと言いました。
苦しい時に救急外来に行かずして楽になり、発作を鎮めることができて何が悪いんだと思われたと思います。親御さんもそういう顔をされていました。これは専門医しか知らないことだと思いますが、これでは何の治療にもなっていないことに気付かなくてはなりません。
昨日も書きましたが、アトピー性皮膚炎の場合、皮膚に炎症があるから、ステロイド軟膏をしっかり使って、皮膚の慢性的な炎症を抑える必要があります。保湿剤や、非ステロイドの軟膏を塗り続けるとどうでしょうか?。湿疹は一向によくならず、ドンドン悪化していくと思います。
実は、ぜんそくも気管支に慢性的な炎症があります。「気管支拡張薬」は気管支をこじ広げるだけで、炎症を抑える効果はないのです。逆に、“その場しのぎ”的なことをしているだけで、ぜんそくが重くなっていくこともあります。
先の患者さんが先日受診されましたが、病院に入院されたのだそうです。ぜんそく発作を起こしてです。私の恐れていたことが起きたようです。
ですから、今日のタイトルの吸入×吸入→「悪化」もしくは「入院」という言葉が入ります。
親御さんには、新たな吸入薬を処方しました。「パルミコート」という吸入薬です。
これは吸入ステロイド薬で、気管支の炎症を抑えようとする効果があります。アトピー性皮膚炎の湿疹にステロイド軟膏を塗ってあげるのと同じような意味合いです。乳幼児には圧倒的な効果を有します。多分、開始後まもなくから効いてきて、入院したり、ゼーゼーする確率は相当に減るはずです。
医師に吸入器を勧められて、対応ができるようになってよかったと思っていても、こういうことが起こるということも覚えておかなければいけないと思いますよ。