小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

簡単と困難
2017年10月30日 更新

私の地元には、アレルギー専門医は私しかいません。

アレルギーの患者さんを中心に診療していますが、その一方で小児科医でもあります。お子さんが具合い悪くなった時には、頼りにされることも多いです。

小児科医は、子どものあらゆることに対応することを求められます。お子さんが熱が出たとか、下痢をしたというのは日常茶飯事で、頭を打ったとか、耳を痛がるということも相談されます。

とは言え、頭部外傷なら脳外科医、耳を診ることができなければ耳鼻科医に頼らざるを得ないこともあります。1人の医者が、子どもの全ての病気に完璧に対応することは不可能なのは事実です。いかに上手に橋渡しできるかだと思います。

先日、アレルギーで診ているお子さんが、熱が続き、陰部を痛がるということで受診されました。泌尿器系の感染症だろうということで、入院もあり得るということで、総合病院の小児科に紹介しました。

後日、その病院の泌尿器科の先生から返事があり、「精索上体炎」という病気でした。男の子だったので、睾丸の脇の附属器である精索上体が炎症を起こしているということでした。小児科医を長くしていますが、初めて診ました。

初めて診た病気は、自分で全て診断し、治療する必要はありません。診断には超音波検査も必要ですが、当院には超音波検査の器械自体もありません(汗)。

このように自分が診断、治療できないことは、その道の専門家に紹介すればより高度な医療を提供してもらえるので、下手に自分で何とかしようとする必要もないのです。

逆に、内科や耳鼻科、皮膚科に通って改善しなかったりすると、私の腕の見せどころになります。

というように、医療ってそんなに“難しい”とは思いません。こう書くと語弊があるのかもしれませんが、他のドクターとの連携をすれば、問題を解決できることは多いだろうと思っています。

自分でできもしないのに、自分のところに通わせる“悪徳医”とも言えるような医者って、結構います。そういう医師は親御さんからの信頼を失くしていくものと思われます。

真面目に取り組んでいると、頼りにされることも多く、患者さんも増えていくことになります。その結果、診察の待ち時間が長くなったり、医師自身も毎日忙しくて、疲労が積み重なったりしていくであろうと思います。

オープン当時は美味しかった飲食店が、人気が出てきたのを境に味が落ちるってことってありますよね?。これは開業医も同じ場合もあります。最初は患者数も少ないので、丁寧に時間をかけて診療していて、患者さんの数が増えてくると、流れ作業で手抜きをするようになります。

医療の場合は、誤診しようが、手抜きをしようが、1人診療すれば1人分の収入が得られるため、“楽に儲かる”というニンジンを目の前にぶら下げられると、それに乗ってくる医者って、かなり多いように思います。

私の場合、そうはしたくないと思っているので、待ち時間はどうにもなりません。また日々忙しいと、せっかくの休みは体を休めたいのですが、当院は学会に参加して最新情報を得たいと思っているし、日頃の成果を発表するという学界活動にも力を入れています。

多くの開業医は、学会活動はほとんどしていませんが、私は日本アレルギー学会や日本小児科学会など大きな学会で発表するようにしています。結局、自分の残り時間をみつけて学会の準備をし、診療を休んで学会に参加しています。

真面目に診療すればする程、学会活動は困難になりますが、敢えて頑張っています。来年もいろいろと発表の計画を立てているところです。

こんな状況がいつまで続きますことやら…。