日曜日の講演が終わりました。
次は明日の15日です。今はその準備に余念がありません。「全国学会の準備はどうなったんだ!?」って感じですよね(汗)。
構想は練ってあるので、何とかなるでしょう。てか、これまでも何とかやってきたし…(笑)。
食物アレルギーの診断を精度高くつけるためには、「食物負荷試験」は避けられません。しかし、現実的には食物アレルギーをナメきっており、いい加減なことを言う医者があとを絶ちません。
負荷試験の関して、私ならこうするって話を加えようと思っており、スライドを準備しています。
例えば、「とろろソバ」をアナフィラキシーを起こしたとします。「ヤマイモ」も「ソバ」もアレルギーを起こしやすい食べ物ですし、一般的には両方が原因ということはなく、「ヤマイモ」か「ソバ」のどちらか探らないといけません。
「アレルギー採血をやればいいじゃん」とお思いかもしれませんが、ちょっと待ってください。まずやるべきは「問診」です。
普段から「ソバ」を食べていて、何ともなかったのなら、「ヤマイモ」が原因である可能性が高まります。ただ、「ヤマイモ」も食べているのなら、原因は「ソバ」でも「とろろ」でもない可能性が強まります。他に原因を求めなければなりません。
「とろろソバ」を食べたあと、運動をしたのなら「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」を起こした可能性を考えます。「ヤマイモ」でも起こし得るのかもしれませんが、個人的には経験はなく、「ソバ」ならあります。運動の影響も考えなければなりません。
「問診」である程度絞り込んだところで、「アレルギー採血」に進みます。「ヤマイモ」が陰性で、「ソバ」が陽性なら「ソバアレルギー」の可能性が高まりますが、普段から「ソバ」を食べている人なら、「ソバアレルギー」とは診断しにくいはずです。
「ソバ」と「ヤマイモ」が両方陰性、もしくは両方陽性なら、どちらか分からなくなります。この辺であきらめる医師もいるでしょうが、私なら「皮膚テスト」をやります。
「ソバ」は検査薬がありますが、「ヤマイモ」はありません。患者さんから「ヤマイモ」を持参していただければ、「ヤマイモ」自体に小針を刺して針先にヤマイモの汁を付けた上で、腕にチョンと小傷をつければ、アレルギーがあれば大きく腫れてきます。
「ソバ」でも「ヤマイモ」でも「アレルギー採血」のほか、「皮膚テスト」という複数の検査を組み合わせて、原因追及を行う訳です。
それでも決定的な証拠が得られなければ、「ソバ」と「ヤマイモ」自体でそれぞれの「食物負荷試験」を行うしかありません。負荷試験をできない医師は、専門医に紹介状を書かなければなりません。
その患者さんは、「とろろソバ」を食べてアナフィラキシーを起こしているのです。患者さんを守るためには、アナフィラキシーの原因を明らかにし、除去すべき食べ物をハッキリと患者さんに示さなければなりません。
最近、ちょっとだけ負荷試験をやる医師も増えてきましたが、ここが一番のハードルでしょうか?。専門医でも「ソバ」や「ヤマイモ」の負荷は怖いと思う人もいることでしょうし、負荷試験をしたこともない医師も少なくないと思います。
私なら、最終的なところまで責任を持ってやると思います。1日に一品ですが、「ソバ」なら「ソバ」で負荷試験を行います。「ソバ」でアレルギー症状が誘発されて、「ヤマイモ」で出なければ、「ソバアレルギー」と確定できると思います。
以前も話題にしましたが、赤ちゃんが離乳食として「パン粥」を食べて、アレルギー症状をきたしたケースを経験しています。その時も「ミルク」と「小麦」のどちらかか決めあぐね、「ミルク」と「小麦」のそれぞれの負荷試験をしたことがあります。
負荷試験をやると、アナフィラキシーを起こす可能性はあります。負荷試験をやる医師だって怖いと思うでしょうが、原因が分からず、これからいろんなものを食べていかなければならない患者さんや親御さんは、もっと怖いはずです。
よくあるパターンですが、医師が怖いと思った時点で、うやむやにして終わらせてしまう傾向があります。自分が危険にさらされるのなら、患者を二の次に考えてしまうのです。
それっておかしくないですか?。患者さんは専門的に判断して欲しくて、お金を払っている訳です。うやむやにして、報酬だけもらう医者がいかに多いことか。
多くの医者がデタラメをしている現実を、私はよく目の当たりにしていますし、患者さんも知りたくないであろう“現実”を知っていただきたいと思っています。