小児科 すこやかアレルギークリニック

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贖罪!?
2017年11月15日 更新

この日曜日、新潟市内で一般の方むけに食物アレルギーの最新情報に関するお話をさせていただきました。

そこでも話したことですが、アトピー性皮膚炎から「経皮感作」を受けて食物アレルギーを発症するため、アトピー性皮膚炎の治療を徹底的に行うことと、早期から食べられる範囲で食べさせるということがポイントであることが明らかになってきました。

以前はこういうことが分かっていなかったので、重症なアトピー性皮膚炎の赤ちゃんに遭遇すると、弱いステロイド軟膏を地味に使いながら、アレルギー採血で陽性になった卵やミルクを母親に除去してもらい、湿疹が軽快するかどうかをみたものです。

学会の推奨していたことが、短期間で手のひら返しのようになるくらい、アレルギーの分野は激変しています。

どこの専門病院にもいるでしょうが、そんな重症アトピー性皮膚炎のお子さんが、卵や乳などの重症食物アレルギーを合併しており、負荷試験を試みてもほとんど食べられない状況で完全除去が続いているという患者さんはいると思います。

大きくなってくると、学校も忙しくなり、負荷試験のための受診もできなくなってきます。また、本人も除去することに慣れており、負荷試験の必要性が薄れている上に、過去にやった負荷試験で起きた症状を覚えているため、なおさら負荷試験から遠ざかってしまいます。

もう10年以上前のことですが、重症アトピー性皮膚炎があり、卵6、ミルク6、大豆6、小麦5などその他いろいろ陽性の患者さんを診ていました。

お子さんが小さい頃は負荷試験もやっていましたが、わずかな量でもアレルギー症状を起こしてしまい、除去が続いていました。もう10歳を過ぎており、成長とともに当院から足も遠のいていき…という感じでした。

当院にもたまに顔を出すくらいでしたが、先日久々小麦で負荷試験をやりました。以前、うどん数10グラム食べたところでアレルギー症状を誘発してしまいましたので、今回は100gのうどんでリベンジとなる負荷試験です。

重症化すると治りづらいと覚悟していたのですが、結果は100g完食できました。私もうれしかったです。

最近は、早期に対応しているため、重症な食物アレルギーの患者さんを診ることはほとんどありません。この患者さんは、何とかしたいと思いつつも、私の中でずっと重たい存在でした。

ある意味、贖罪のような気持ちもあります。いろいろ食べさせてあげられず、申し訳なかったという気持ちですが、うどん100gをクリアできて、ちょっと肩の荷がおりた気がしています。